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■令和3年6月定例会 代表質問・答弁

質問項目

1.新型コロナウイルスワクチン接種の迅速化に向けた市町村支援について

2.弁護士費用の専決処分について

3.県立男女共同参画推進センターの集約化について

4.やまなし地域づくり交流センターの活用について

5.地下水に着目した法定外税の導入について

6.恩賜林御下賜110周年記念事業について

7.本県のエネルギー政策について

 (1)太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例について

 (2)再生可能エネルギー導入に向けた取り組みについて

8.甲府城の復元整備について

9.本県農業の生産性向上について

10.県産の農畜水産物PRについて

11.パワー・ツー・ガスシステムの技術開発について

12.教員の働き方改革に係る今後の部活動の方向性について

 

1

新型コロナウイルスワクチン接種の迅速化に向けた市町村支援について

皆 川 国内で初めての新型コロナウイルス感染症の患者が確認されてから、1年半が経過しました。

 当初の予想に反し、新型コロナウイルス感染症と人類との戦いは長期戦となっており、今後、感染拡大を抑え、収束に向かわせるためには、現在本格化しているワクチン接種を迅速かつ確実に実施していく必要があります。

 海外に目を向けると、既に国民の大半が接種を終えたイスラエルなどでは、感染者数や入院患者数が激減し、屋外でのマスク着用義務が解除されております。

 我が国においては、国がワクチン獲得に出遅れ、国全体として接種が進んでおらず、また、本県においても、県都である甲府市の接種開始が遅かったと承知しております。

 我が国、そして本県においても、一人でも多くの方にワクチンを接種してもらうことが、失われた日常を取り戻すために不可欠であります。

 県による医療従事者等に対する接種は、順調に概ね完了したとのことであり、まずは一安心ですが、次は、高齢者に対する接種を、可及的速やかに実施しなければなりません。

 菅総理は、高齢者に対する接種を7月末までに完了することを目指しつつ、高齢者以外の方の接種も迅速に行い、この危機からの一刻も早い脱出を図られております。

 本県では、県内全ての市町村が、7月末までに高齢者に対する接種を完了できる見込みと聞いておりますが、各市町村が確実に7月末に完了するためには、県の支援が不可欠であります。

 その中でも、多くの市町村は、接種に携わる医師や看護師等の確保に常に苦慮しております。

 県内の医師や看護師等の医療資源には限りがあることから、県による広域的な観点からの調整等が必要であります。

 また、高齢者や基礎疾患のある方などの優先接種完了後には、若い世代を含む一般接種がいよいよ開始され、感染拡大の抑制が期待されるところであります。

 市町村が、今後、更に迅速かつ円滑に、また、安心・安全にワクチン接種を実施していくには、人員確保、情報発信など、多様な観点から、県の地域横断的な支援が引き続き必要であると考えますが、県では、これまでどのように市町村支援を行ってきたのか、また、先程、追加提案されたワクチン大規模接種センターの設置も含め、今後どのような対策を講ずるのか、お伺いします。

 

長崎知事 まず、医療従事者等の確保に向け、5月に。私自ら、県医師会や各地区医   師会、県歯科医師会を直接訪問して協力を要請し、関係者の皆様から力強いお答えを頂戴しました。

こうしたことにより、医師会の皆様の御協力を得て順調に接種が進んでおり、歯科医師による接種についても、例えば、甲府市や笛吹市において行われているところです。

 また、協力の申し出を頂戴した甲府看護専門学校等の有資格者の皆様については、人材バンクに登録いただき、市町村の集団接種会場における人員体制の補完を図っております。市町村の最大の課題となっているワクチンの確保につきましては、引き続き国に強く要望して参ります。

 また、市町村に対し、感染者が発生した場合の影響に鑑み、一般接種における優先的な接種の指針をお示ししました。

 更に、県も大規模接種センターを設置し、子ども・教育に携わる職員等を対象に、ワクチン接種の加速化を図ります。

 なお、昨日、国から、大規模接種会場設置の新規受付を一時停止するとの発表がありましたが、本県においては既に申請済みであり、国には、確実なワクチンの配分を強く求めて参ります。

加えて、接種業務全体の迅速化を図るため、国の接種管理システムへの登録作業の支援を行って参ります。

 また、希望者への接種を速やかに完了できるよう、時間外や休日における医療従事者派遣費用について、市町村に対し財政支援を行い、接種促進を図って参ります。

 更に、地域ごとの専任職員の配置や地区協議会への参画を通じて、市町村に対し、助言等を行っております。

 

 希望される県民への接種を可及的速やかに完了し、一日も早<日常を取り戻すことができるよう、市町村の接種体制の構築を支援して参ります。

 

2

弁護士費用の専決処分について

皆 川 県は4月30日、富士急行が県を相手取り県有地の賃借権を有することの確認を求めた訴訟などの着手金として、住民訴訟の訴訟代理人を務める弁護士に支払う1億4300万円を専決処分しました。

 長崎知事は、旧日本弁護士連合会報酬等基準により算出した額よりも減額したとして金額の妥当性を主張し、専決処分については「議会で審議する時間的余裕がない」などと説明しました。

 地方自治の専門家である大学教授は、今回の専決処分が2月定例県議会で再議となるなど議論の的であった弁護士報酬であることを挙げて、「議会が公開の場で議論することは世論形成にとっても大事なことだ。県民の関心は高く、臨時会を開いて議論すべきだった。」などと指摘しております。

 私は、特別委員会の委員長としてこれまで、偏った議論にならないように、公正公平を心掛けて委員会審査に臨んできました。

 その上で、昨年11月定例県議会より一貫して、長崎知事が訴えている「県民全体の財産である県有地については、適正な対価で貸し付けなければならない」との方針に賛同しております。

 県民の利益に資する形で県有地の賃貸借がなされることが、一番望ましいことである一方で、今回の専決処分にみられるような弁護士報酬については、県民の声を聴きながら適切な議論が行われるべきとの想いで議会に臨んでおります。

 専決処分された1億4300万円、また、時給5万円などの換算で支出された同じ弁護士への調査業務委託費6600万円は、県民目線で考えればいずれも高額であります。

 だからこそ、丁寧に説明を重ねること、県民の代弁者である議員の理解を得ることが、最も大切なことだと考えます。

 二元代表制の一翼を担う県議会の一員として、議会基本条例に基づいて今回の専決処分に対する適否を議員一人一人がしっかりと考えて行動すべきと考えます。

 そこで、議会での審議を経ずに実行された今回の専決処分に関して、どのような経緯と経過で行われたのか、また、議会への説明責任を果たすことができたと考えるのか、専決処分に対する諸々の批判に対して、県として、どのように応えていくのか、知事の御所見を、お伺いします。

 

 

長崎知事 議員からは、県民共有の財産である県有地については、適正な対価で貸し付けなければならないという方針に賛同しているという力強いお言葉をいただき、心から感謝申し上げるとともに、県有地の貸付に関する調査及び検証特別委員会の委員長として、県有地貸付の適正化に向けてリーダーシップを発揮されることを御期待申し上げます。

 お尋ねの弁護士費用の専決処分についてでありますが、4月5日に富士急行株式会社から債務不存在等確認請求や賃借権確認等仮処分申立の訴状等が到達し、答弁書の提出期限が5月6日と定められ、準備の時間が大変限られる中、速やかに訴訟追行体制を整備しなければならない状況にありました。

 令和3年2月議会における県議会からの附帯決議を踏まえ、答弁書の提出期限まで平日で20日もない中で、着手金を最少のものとするため、厳しい交渉を弁護士との間で重ねてきました。

 2月議会における議会側からの当初予算の修正では、訴訟物の価格が具体的に確定していない段階であったことから、旧日弁連報酬等基準による経済的利益の額が算定不能な場合の基準に基づき、70万1,000円の着手金を予算計上しております。

 今回の着手金については、富士急行株式会社からの訴状が届き、訴えの内容が判明したことから、具体的な経済的利益の額が算定可能となったため、2月議会における考え方と同様に旧日弁連報酬等基準に基づき算定しました。

 更に、2月議会における「着手金を初めとして最少の経費となるよう努力すること」との附帯決議を踏まえ、旧日弁連報酬等基準に基づき算定した額よりも大幅に縮減する努力を重ねて参りました。

 交渉の結果、確認請求と仮処分申立を合わせ1本の契約とするほか、着手金については、経済的利益の 2%で算定するところ、1.2%で算定することとし、加えて、昨年度の調査委託経費である6,600万円も控除しております。

最終的に、旧日弁連報酬等基準で算定した場合、本来6億円余を要するところ、その4分の1を下回る 1億4,000万円余にまで大幅に縮減した着手金とすることで交渉がまとまったところであります。

 更に、契約には反訴を含めた内容とし、反訴を提起するに際して必要となる着手金を支払うことがなくなるよう契約条項において定めております。

このように、2月議会における附帯決議を十分以上に踏まえ将来的な弁護士費用を含め、最少の経費となるよう、度重なる交渉をしてきたところであり、加えて、更なる弁護士費用の低減の可能性を探るべく、他の法律事務所への打診等を行ってきた結果、最終的に調整が終わったのが、4月28日となったものであります。

 また、仮処分の申し立てについては、迅速な進行が求められる手続きであり、通常、裁判所は短い時間で判断を行うことから、県の主張を最初から詳細に申し述べなければならず、早急に訴訟代理委任契約を締結し、答弁書の作成に着手する必要がありました。

 このような状況から、臨時議会を招集する時間的余裕がなく、やむを得ず地方自治法第179条第1項の規定に基づき、弁護士への着手金に要する予算を専決処分させていただいたものでありますが、以上るる申し上げたとおり、2月議会で示された議会の考え方に基づき、忠実に交渉を行ってきたが故のものであります。

 なお、この予算に基づく契約は、旧日弁連報酬等基準を適用しつつ、できるだけ低い経費に抑えるとともに、報酬全体のうちの多くは、裁判を通じて具体的利益が確保されたときに成功報酬として支払うこととしています。これは、2月議会における修正後の債務負担行為の内容のとおりであり、そのため、今回の専決処分において、新たな債務負担行為の設定はしておりません。

専決処分に際しては、全ての県議会議員の先生方に対し、事前に連絡をさせていただき、その概要を説明させていただくとともに、県議会の県有地の貸付に関する調査及び検証特別委員会において、専決処分に至る経緯や積算内訳、契約内容について説明させていただいているところであります。

 今回専決処分させていただいた弁護士費用が高額であるという意見は承知しておりますが、それだけ県民が失っている利益が巨大であることを示しているものであり、県民の利益を第一に考え、県の主張が裁判所に認めていただけるよう、全力で裁判を追行して参ります。

 

3

県立男女共同参画推進センターの集約化について

皆 川 県立男女共同参画推進センターの集約方針の見直しを求める請願が2月議会において採択され、また、数多くの署名や要望が提出されました。

 今月10日には「政治分野における男女共同参画推進法」を改正する法律が成立し、女性の政治参画が期待されるなど、各分野において女性参画の取り組みが進められているところであります。

 一方、本県の男女共同参画の現状を見ますと、働く女性や共働き世帯が増加し、女性の社会参加は進んできていますが、「社会全体において」男性優遇と考える人の割合が多く、また、管理的職業従事者に占める女性の割合は全国と比べても低い状況にあり、女性の参画が十分に進んでいるとは言えない状況にあります。

 過日、県が開催した意見交換会において、センターを拠点として活動してきた団体等から率直な意見が出されたと聞いております。「施設があることで継続的な活動ができる」「身近な拠点は必要だ」「男女共同参画の活動が低下する」「県が運営に積極的に係わるべきだ」といった男女共同参画の後退に対する不安の声や運営に関する意見などがあったと承知しています。

 私は、今まで3館あった施設が1館になることにより、団体の皆さんがこれまで取り組んできた男女共同参画や女性活躍の推進に大きな影響を及ぼすのではないかと危惧しております。

 県は、まだまだ進まない男女共同参画の実態や団体等からの貴重な意見を真摯に受け止め、不安を払拭する必要があると考えます。

 今回の集約化によって、本県の男女共同参画や女性の活躍が後退するようなことがあってはなりません。後退ではなく、前進、一層の推進につながるような施策を打ち出すことが重要だと考えます。

 そこで、県では、今後の男女共同参画の推進にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。

 

長崎知事 男女共同参画の推進は、県政における最重要課題の1つであり、これまで以上に施策を充実・強化する必要があると考えております。

 このため、限られた人的資源や財源をぴゅあ総合に集中させ、機能の充実・強化を行う方針であります。

 具体的には、ICT環境の整備により、オンラインでの講座や相談を充実させるとともに、学校や企業への出張講座や、身近な場所での巡回展示を行い、来館せずとも地域で相談や学習ができる仕組みをつくり、その効果を全県に波及させて参ります。

 また、将来を担う人材の育成に向け、キャリアアップや意識啓発の講座などを充実させるとともに、働く女性を始め、様々な世代の人が利用し交流できるコワーキングスぺースの設置など更なる施策の検討を進めて参ります。

 更に、女性の生活困窮やDVの深刻化など近年顕著になった課題にも対応できるよう、相談機能の充実強化を図って参ります。

加えて、こうした課題に即した施策をスピーディーかつ的確に打ち出せる体制の構築が必要であると考えております。

 このため、今般、知事直轄で理事級の男女共同参画・女性活躍推進監を新設し、トップダウンのメリットを生かした政策立案機能の強化を図ることとし、次年度に向けては、更なる組織強化の検討を進めて参ります。

 今後、市町村の推進委員や女性団体等と顔の見える関係づくりを行い、ネットワークを構築する中で様々な意見を伺いながら、県民の皆様とともに男女共同参画の推進に全力で取り組んで参ります。

やまなし地域づくり交流センターの活用について

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皆 川 地域コミュニティの活性化に資する中核拠点として、旧ボランティア・NPOセンターを改修し整備を進めていた「やまなし地域づくり交流センター」が、8月に

オープンする運びとなりました。

 施設がある甲府市春日地区は私の地元であり、旧ボランティア・NPOセンターを地域の方々とともに利用していたことから、新たな施設の完成を楽しみにしていました。

 過日、総務委員会の県内調査に地元議員として参加し、完成した施設を視察する機会を得ました。

 建物の外観は白を基調とした外壁にリニューアルされ、エントランスは広くガラス張りとなっており、とても明るくなった印象を受けました。内装は県産材などの木材を多く使用していることから、木のぬくもりが感じられ、老朽化のため閉鎖した以前の施設からは、想像できないほど魅力的な施設になっています。

 しかし、残念なことは、駐車可能な台数が18台と少ないことです。開館後は、イベントや研修などが開催され県内各地から多くの方が訪れると思いますが、今の車社会において施設を有効に利用してもらうためには、更に駐車場を確保する必要があると考えますが、御所見をお伺いします。

 また、交流センターは、県民や企業、NPOなど、多様な主体の交流・連携を図り、自ら地域の課題に取り組む方々の起業・創業を支援する重要な役割を担っていることから、指定管理者任せにするのではなく、この施設が多くの方々に利用していただき、活気あふれる拠点となるよう、県も運営に積極的に関与していく必要があると考えます。

 そこで、やまなし地域づくり交流センターをどのように活用していくのか、御所見をお伺いします。

 

 

長崎知事 交流センターにつきましては、活力ある地域づくりや地域経済の活性化につながる施設として、県民の新たな交流拠点となるよう整備しているところです。

 まず、施設の有効利用に向けた駐車場の確保については、来館される方の利便性を考慮し、ホームページで駐車場の空き状況の周知や近隣駐車場の案内を行うこととしております。

 また、イベント開催時には近隣機関の駐車場を借用する予定であり、利用者に不便が生じないように対応して参りたいと考えております。

 次に、センターの活用については、事業化に向けた各種相談やマッチングを実施するとともに、地域課題解決に取り組むワークショップなどを開催し、社会的起業に向けた支援を行って参ります。

 これらの事業の実施に当たっては、県、県ボランティア・NPOセンター、県立大学、やまなし産業支援機構などによる運営協議会を組織し、効果を検証しながら、議員御指摘のとおり指定管理者任せにはせず、県が責任をもって県民ニーズに沿った支援を展開いたします。

 また、誰でも自由に利用ができ、情報交換も可能なコワーキングスぺースを設けており、利用者間の交流を促し、多様な主体の連携・協働から生まれる主体的な活動の場として参ります。

 現在、多くの方々に親しみをもっていただけるよう、愛称を募集しているところであり、本センターが大勢の方に活用されることで、新たな活動を生み出す拠点となるよう、取り組んで参ります。

 

5

地下水に着目した法定外税の導入について

皆 川 本年3月、大手家電量販店のグループ会社が、富士北麓への大規模なミネラルウォーター製造工場の建設を決定したとの報道がありました。

 また、一般社団法人日本ミネラルウォーター協会によると、令和2年における本県のミネラルウォーター生産量は、約155万キロリットルにのぼり、引き続きダントツの全国第1位であり、全国シェアは実に40%を超えております。

この量は10年前の平成22年と比べて約2.5倍となっており、近年急増しております。

 これらは、まさに山梨の水の良さや価値の高さの証左であり、山梨県議会がとりまとめ、平成31年3月に提出した「地下水に着目した法定外税導入に関する政策提言」の着眼点の正しさや内容の妥当性について、再認識したところであります。

 この政策提言は、本県では事業活動により地下水が多く採取され、利益が生じている状況にあるため、地下水の利用に対して課税を検討するべきものとしています。

 山梨の良い水を使った商品として私が真っ先に思い浮かべるミネラルウォーターを例とした場合、単純に1Lあたり1円を課税すると年間15億円以上、2円とすると年間30億円以上の税金が入ることになります。

 これは自主財源が乏しい本県にとって、魅力ある地域づくりのための様々な事業を行う上で貴重な財源になるはずです。

 県では政策提言を踏まえ、租税法等の学識経験者などから構成される「山梨県地方税制等検討会」を設置し、これまで五回の検討会が開催され、課税対象とすべき行為などについて活発な議論が交わされています。

 そこで、具体的な制度設計に向けて、今後どのような取り組みや検討を行っていくのか、お伺いします。

 

 

長崎知事 本県の財政状況は厳しく、自主財源が十分でない中、法定外税の新設について検討を進め、自主財源の要である税収の確保に取り組むことは重要であります。

 県では、山梨県議会からいただいた政策提言を踏まえ、令和元年8月に、租税法等の学識経験者などから構成される「山梨県地方税制等検討会」を設置し、これまで5回の会議を開催して参りました。

 検討会では。営利目的による地下水の採水行為又は製造場からの移出行為を課税客体とする複数の案について課題の整理が行われております。

 また、地下水の採水量や製品に含まれる割合などに関する事業者への実態調査も実施し、その分析を行っているところです。

 今後は、課税標準や想定される納税義務者などについて、具体的な制度設計に向けた詳細な検討を行うとともに、産業界からも意見聴取を行うなど、本年度中の報告を目指して検討を着実に進めて参ります。

 

6

恩賜林御下賜110周年記念事業について

皆 川 本県は、県土の約8割を森林が占める全国有数の森林県であり、水源地域に広がる森林の多くは、明治44年に、大水害からの復興に役立てるよう明治天皇より御下賜された恩賜林であります。

 その歴史を振り返りますと、本県が財政再建団体となった戦後の経済復興期には、恩賜林の木材を売却し、その収入によって財政の危機を救ってきました。

 また、昭和40年代には、多様化する時代の要請に応え、保健休養、教育文化の場として県民の森や武田の杜を整備し、現在も多くの人々に利用されております。

 更に、地球的規模の環境問題が顕在化する中、平成15年には、世界標準の視点から森林を認証する、FSC森林管理認証を取得し、環境に配慮した森林管理を推進するとともに、二酸化炭素の森林吸収量を活用したカーボン・オフセットを導入するなど、温暖化防止にも大いに寄与しております。

 県政の発展と県民福祉の増進に大きく貢献してきた恩賜林は、御下賜100周年記念大会において、皇太子殿下が御名代として御臨席になり、代読された天皇陛下のお言葉のとおり、「人々のための森林」として、これからも大切に守り育てていかなければなりません。

 本年は、恩賜林の御下賜110周年を記念して、様々な事業が展開されることと承知しておりますが、私は、この事業を通じて、多くの県民に恩賜林の果たしてきた役割や歴史を再認識していただき、守り育てる意識を醸成していくことが、県民の貴重な財産である恩賜林を、より豊かな森林として次の世代に引き継いでいく上で大変重要であると考えます。

 そこで、恩賜林御下賜110周年の記念事業の実施に当たり、具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

長崎知事 恩賜林は、先人たちのたゆみない努力により緑豊かな森林に育ち、県土の保全、水源の涵養など、県民生活を守る上で大変重要な役割を果たしております。

 更に議員御指摘のとおり、かつて本県が戦後の苦難の最中、恩賜林が本県財政を救い、これにより多くの県民の生活支援が可能になった事に改めて感謝の想いを全ての県民と再確認したいと思います。

 そして、今日も我々は、コロナ禍の苦境の最中にありながら、25人少人数教育推進と介護待機ゼロという山梨県社会の基礎条件充実の実現に向け、再度、恩賜県有財産の本義を再確認し、その恵みをあまねく全県民と分かち合うべく更なる努力を積み重ねなければなりません。

 このため、御下賜110周年の節目に当たり、改めて恩賜林に感謝し、県民共有の財産として将来に向けて県民全体で守り育て、全ての県民の生活向上に役立てていく機運を高めるための様々な事業を展開したいと考えております。

 こうした考えのもと、5月には緑の少年隊をはじめ多くの方々とともに記念植樹を実施したところであり、10月には110周年を祝い未来の森づくりへの決意を新たにする記念式典を開催いたします。

 また、多くの県民に恩賜林についての理解を深めていただけるよう、県立博物館で恩賜林110年を振り返る特別展を開催するとともに、その歴史を後世に伝えるための記念誌を発刊することとし ております。

 併せて、恩賜林トレッキングツアーや県内全域で開催される山の日関連イベンドなど、様々な機会を通じて恩賜林の魅力やその役割を広く発信して参ります。

 こうした取り組みにより、本県の豊かで美しい恩賜林を全ての県民の共有財産として、しっかりと将来に引き継いで参ります。

 

7

本県のエネルギー政策について

(1)太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例について

 

皆 川 まず、太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例についてであります。

 県では、平成28年に策定した「やまなしエネルギービジョン」において、地域資源を活用した多様なクリーンエネルギーの導入を拡大するとしておりますが、事業用の太陽光発電施設については、防災や環境などに配慮した適正な導入が図られるようガイドラインにより指導を行ってきたと承知しております。

 しかしながら、これまでの県内での太陽光発電施設の現状を見ると、利益優先の事業者による無秩序な設置が急拡大し、その結果、県内各地において、防災面や環境面で様々な問題を引き起こし、条例による規制を求める声が大きくなっていました。

 こうした中、県では、有識者からの意見や県議会からの政策提言を受け、本議会に太陽光発電施設の設置等を規制する条例案を提出したところであり、多くの県民の声を反映されたものと評価しております。

 本条例案では、森林伐採を伴うものや災害リスクの高い区域への新規設置を原則として禁止し、防災対策などに万全の対策が講じられた施設のみ許可を受け設置できることから、県土の約8割を森林が占める本県において、今後の自然環境・生活環境への悪影響や災害発生への懸念は減少すると期待されます。

 一方で、県内には既に1万件を超える多数の施設が稼働しており、その中には、甲斐市菖蒲沢地区のメガソーラー事業のように、森林を伐採して設置した施設が相当数あります。

 集中豪雨など災害が激甚化する中、事業者には、施設が被災し、周辺地域に悪影響を及ぼすことのないよう、適正な維持管理を徹底させることが極めて重要であります。

 本条例案では、稼働中の施設に対しても、維持管理計画の作成と公表、計画に基づく点検の実施を義務づけ、災害防止のため適正な対策を講ずることを求めており、規制の仕組み自体は評価しておりますが、適切な運用が図られなければなりません。

 書類上の審査に加え、実際に現地に足を運び実態をしっかりチェックすることはもとより、対策が好ましくない事業者に対しては、毅然たる姿勢で臨むことが必要と考えます。

 そこで、稼働中の施設への対応について、条例の実効性を確保するため、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

 

長崎知事 今議会へ上程した条例案は、太陽光発電施設の設置から廃止までを通じて、事業者に適切な対応を求めるものであり。議員御指摘のとおり1万件を超える既存施設を含む適正な維持管理の徹底が重要であります。

 このためまずは、県、市町村のホームページや広報誌に加え、全国版の雑誌や業界団体を通じた情報提供など、様々なツールを活用し、県外を含む多数の事業者に広く条例の主旨や内容を周知して参ります。

 また、条例施行に伴い、多数の設置届が提出されますが、書類上の審査に止まらず、設置規制区域内の施設を中心に、職員が現地に赴いて直接確認し、維持管理に問題がある事業者には、改善を指導して参ります。

 その上で、指導に従わない事業者には、必要に応じて改善勧告や措置命令を行うとともに、国に対して固定価格買取制度による事業認定の取り消しを求めるなど、条例に基づく措置を断固としたスタンスをもって実行して参ります。

 更に、県内各地の多数の施設について、これら一連の対応を適確に行っていくためには、市町村との連携が重要となります。

 このため、相互の緊密な連絡により、施設ごとの管理状況や指導方針を確認し、協力関係を強める中で、一致した対応を図って参ります。

こうした取り組みを着実に進めることにより、実効性のある事業者指導を実施し、既存施設を含め、適正な維持管理を徹底して参ります。

 

 

(2)再生可能エネルギー導入に向けた取り組みについて

 

皆 川 昨年秋、菅総理は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。

 また、先般、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比でこれまで

の26%減から46%減に大幅に引き上げることを表明し、目標達成に向け、再エネを最大限導入する方針を示しました。

 これを受け、現在国では、電力等に関する中長期的な計画であるエネルギー基本

計画の改定作業を進めており、2030年度の電源構成の目標について、太陽光など再エネの割合を大きく引き上げる方向で検討されています。

 本県は、全国に先駆けて、C02ゼロを目指すことを表明し、やまなしエネルギービジョンにおいて、消費電力に占める再エネ等による発電量の割合、いわゆる電力自給率を52030年度までに70%とする目標を掲げ、取り組みを進めていると承知しております。

 また、最近の再エネ導入の加速化を進める国の方針の中、本県においては。先ほど申し上げた太陽光発電施設の新規設置を条例により厳しく規制することも踏まえて、今後のエネルギー政策を    展開していくことが求められており、私は、太陽光などの再エネについては、規制と推進のバランスをとりながら、導入を推進すべきと考えております。

 そこで、本県の再生可能エネルギーの導入状況について、また、県は再エネ導入に向け、今後、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

環境・エネルギー部長 本県では、エネルギービジョンに基づき、2030年度の電力自給率7割を目標に、本県の特性を生かした太陽光や水力発電など、多様な再エネをバランスよく導入することとし、取り組みを進めて参りました。

 その結果、直近の2019年度の電力自給率は約6割と順調に推移しておりますが、内訳をみると、事業用太陽光発電の導入が、固定価格買取制度が開始した2012年度と比較して17倍と突出しております。

 こうした中、本県では条例で森林等への太陽光発電の設置を規制することから、2050年カーボンゼロに向けた国の方針を踏まえ、新たな視点で再エネ導入の加速に戦略的に取り組むことが求められます。

 このため、現在進めている小水力発電の開発有望地点調査に加え、バイオマス発電や屋根置き太陽光発電など、本県における再エネ導入ポテンシャルについて調査することとし、6月補正予算に所要の経費を計上いたしました。

 これと並行して、市町村や経済団体、消費者団体などで構成する検討会議を立ち上げ、再エネの導入形態に応じた導入量等を内容とする導入シナリオを検討し、本年度中に新たな導入目標を設定いたします。

 更に、目標達成に向けて導入シナリオの実現を図っていくためには、地域の特性や県民ニーズ等を踏まえた具体的な事業モデルを検討し、県下全域に展開していくための仕組みが重要となります。

 このため、市町村やエネルギーサービス事業者、金融機関の他、設備業者等のステークホルダーも加えた推進組織を設置し、関係者一丸となって再生可能エネルギーの導入を強力に推進して参ります。

 

8

甲府城の復元整備について

皆 川 今更申し上げるまでもなく、舞鶴城公園として県民に親しまれている甲府城は、日本百名城にも選定された、全国に誇る城跡であり、平成31年2月、国史跡に指定されております。

 16世紀後半に築造された東日本有数の城郭には、自然石を加工せずに積み上げることにおいて最高技術を持つ職人集団、穴太衆による東日本最大級の高石垣を間近で見ることができ、史実に基づいて稲荷櫓や鉄門などの歴史的建造物が復元されたことにより、江戸時代中期の甲府城の姿が現代によみがえりつつあります。

 甲府城が国指定史跡となってから2年が経過しましたが、国史跡化の最大のメリットである国の補助金を活用した整備が進んでいるようには感じられません。

 そこでまず、国史跡指定後に何がどのように変わり、県はどのように取り組んでいるのか、お伺いします。

 私は、昨年の9月定例県議会における代表質問で、今後の甲府城の整備にかかる2つの取り組みの必要性に言及いたしました。

 その1つが、史実に基づく復元により価値を顕在化させるだけでなく、情緒あふれる城下町の風情を再現することができる内堀の復元整備についてであります。

 国の補助金を活用し、早急に対応していくべきと考えますが、内堀の整備にかかる進捗状況と、今後の見通しについて、お伺いまします。

 また、2つ目の取り組みとしたのが、史跡の理解を深め、往時の歴史を体感することができる、歴史的建造物の復元整備であります。

 歴史的建造物は、甲府城の当時の姿を、五感で体感できるだけでなく、歴史的景観を再現させる上でも重要な役割を果たすものであり、加えて、誘客の促進、地域の活性化、中心市街地の賑わいの剔出にも資するものであると考えます。

 このため、歴史的建造物の中でも、数寄屋櫓など、古写真で存在が確認されているものについては、スピード感を持って可能な限り復元に努めていくべきものと考えますが、併せて、県の考えをお伺いします。

 

観光文化部長 まず、国史跡指定に関しては、その効果として、用地取得にあたっての有利な補助金をはじめ、様々な国の財政支援の活用により、価値や魅力を高めるための整備や維持管理を、継続的かつ計画的に行えるようになりました。

 こうした補助金を活用し、県では史跡を確実に保存するため、民有地の買い上げを進めるとともに、昨年度に策定した保存活用計画を踏まえ、具体的な整備計画の策定に取り組んでいるところであります。

 次に、甲府城跡の内堀の復元についてであります。

 現在、本年度中に策定する整備基本計画に、内堀の復元整備を位置付けるべく、その方法や範囲などについて、有識者等から御意見を伺っているところであり、来年度を目途に、復元の具体的な設計に着手したいと考えております。

 最後に、数寄屋櫓など歴史的建造物の復元につきましては、甲府城跡の本質的価値を損うことのないよう、国が定める基準に基づいた資料の確認が必要となります。

現時点では、史跡内の歴史的建造物について、復元の検討に必要な建物の意匠や形態等を示す資料が十分ではありませんが、調査研究を継続しながら、新たな資料の発見に努め、復元の可能性を探って参ります。

 

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本県農業の生産性向上について

皆 川 本県の農業は、大消費地である首都圏に近い立地条件や恵まれた自然環境を最大限に生かし、ぶどうや桃などを中心に様々な品目が生産され、その品質は消費者や市場関係者から高く評価されております。

 また、海外においても大きな需要が見込まれることから、県では輸出のー層の拡大に取り組んでいると承知しております。

 しかしながら、本県の農業生産の現状をみると、農業者の高齢化や担い手不足が深刻化し、加えて地球温暖化が原因の豪雨や大型台風などの異常気象による病害虫の発生により、主要農産物である果実や野菜の生産量は年々低下する傾向にあり、私は本県農業の将来に強い危機感を感じているところであります。

 こうした中、先月、農林水産省では「みどりの食料システム戦略」を策定し、生産から消費までの各段階において、新たな技術体系の確立などにより。我が国の食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を技術革新で実現することとしております。

 現在、国を挙げて、lOTやビッグデータ、AI等の活用を推進し、様々な産業へのドローンの利用などが進む中で、農業分野においてもこのような先進技術による取り組みが進展することに、私は大いに期待しております。

 本県においては、lOTを利用したハウス内環境の複合制御システムや、遠隔操作ができる草刈り機等のスマート農業による省力化技術の導入が始まっており、高齢化が進む農業者の労力や負担の軽減につながる有効な取り組みであると考えております。

 農業の持続的発展には省力化を推進するとともに、果実や野菜の単位面積当たりの生産量を飛躍的に増加させ、収益性を向上することが重要と考えます。

 そこで、革新的な技術開発により本県農業の生産性の向上を図るため、これから県ではどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

 

長崎知事 本県農業の生産性の向上には、先進技術を活用して労力や負担の軽減につながる省力化技術の導入や、異常気象により多発する病害虫対策等を行いながら、農産物の生産を戦略的に拡大することが重要です。

 また、本県の農産物は、品質の高さが国内外でブランドとして評価されており、生産の拡大に当たってはその品質を高水準のまま維持していくことが必要であります。

 こうした中、園芸先進国のオランダでは、生育環境や栽培技術などのデータを駆使し、品質を維持しながら単位面積当たりの生産量を大幅に上げる、生産性の高いデータ農業が行われております。

 このため、県では、データ農業を本県農業の生産性や収益力の飛躍的な向上を目指す画期的な取り組みと捉え、昨年度農政部内にプロジェクトチームを設置し、その可能性について検討して参りました。

 その結果、シャインマスカット等、戦略的に生産を拡大すべき品目について、データ農業により高い生産性を実現する技術を開発することとし、その研究開発に要する経費を6月補正予算に計上したところです。

 今後は、総合農業技術センターや果樹試験場を開発拠点として研究を進めるとともに、普及センターがJAと連携し、篤農家の「匠の技」のデータを収集・分析することで高品質・多収要因を見える化する現地実証も行って参ります。

 県としては、我が国におけるデータ農業のトップランナーを目指しつつ、県内農家に対して早期に普及一定着させることにより競争力の更なる強化と所得向上を図って参ります。

 

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県産の農畜水産物PRについて

皆 川 農業者のたゆまぬ努力と匠の技により生産された本県の農畜水産物は、国内外から高い評価を受けております。

 更に、農作物の生産工程を管理し、安全性向上や環境保全につなげる、いわゆる「やまなしGAP」や有機農業の推進などに加えて、昨年度には、全国の都道府県で初めて、土壌に炭素を貯留し、大気中の二酸化炭素濃度を低減することで、地球温暖化を抑制する「4パーミル・イニシアチブ」の啓発と普及に取り組みはじめたと承知しております。

 このように、農業分野から持続可能な開発目標「SDGs」の実現に貢献する取り組みは、他の産地との一層の差別化が図られるものとして高く評価しています。

 一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による物流の変化や人口減少に伴う産地間競争の激化など、販売環境は不安定で大変厳しい状況にあり、今後、本県農業を将来にわたり発展させていくためには、多様な魅力を持つ本県の農畜水産物の素晴らしさを国内外に向け広<発信し、浸透させるブランドカの強化が必要と考えます。

 こうした中、本年四月、長崎知事は、新たなブランド戦略として、「おいしい未来へ やまなし」というキャッチフレーズとロゴマークを発表されました。

この戦略により、本県を代表する果実のほか、甲州牛や甲州富士桜ポーク、富士の介など、数々の魅力ある農畜水産物を、県が主体となって一体的にPRしていくことは、山梨ブランドの認知度を更に高めるものとして、大いに期待しているところであります。

 昨年からの出口の見えない新型コロナウイルス感染症の影響により、小売店での試食販売や、多くの食品バイヤーが来場するイベントへの出展などのPRが例年どおりにはできない状況にあります。

 私は、こうした状況下においても、本県の特徴ある取り組みにより生産された農畜水産物を、国内のみならず海外も含め広くPRすることで、購入につなげていくことが重要であると考えます。

 そこで、県では、今後、どのように県産農畜水産物をPRしていくのか、お伺いします。

 

 

農政部長 甲県では、本年3月に「地域プロモーション戦略」を策定し、地域資源の「上質さ」を広く訴求することにより、「やまなし」という地域全体のブランド価値の向上に取り組むこととしました。

 地域ブランドを構成する主要なファミリーブランドに位置づけられる農畜水産物については、本年度から生産者の匠の技や果樹オリジナル品種、富士の介など特筆すべき取り組みをストーリー化し、消費者のニーズを強く意識したPRを展開することとしました。

 このため、新たなキャッチフレーズ「おいしい未来へ やまなし」とロゴマークを活用し、品質の良さだけでな<、農業分野におけるSDGs(エスディージーズ)の取り組みなど、おいしさの先を行く、本県農業の特徴を国内外に発信していきます。

 具体的には、多くの場面で消費者の目に触れてもらえるよう、出荷基準等を満たした県産農畜水産物を対象に、生産者や農業団体等に対してロゴマークの積極的な活用を促して参ります。

また、県のホームページに特設サイトを開設し、ふるさと納税返礼品として紹介するとともに、有名シェフとコラボしたレシピ動画を作成するなど、ウイズコロナに対応したPRを積極的に行って参ります。

 一方、昨年の県産果実の輸出額は、初めて10億円を超え、輸出先国の現地語によるSNSを活用した情報発信など、認知度向上に取り組んだ成果が現れ、輸出拡大に大きな手応えを感じたところであります。

 今後は、本年3月に策定した輸出拡大に向けた基本的な戦略に基づき、輸出先国の実情に応じ、対面販売等のリアルとSNS等を活用したデジタルによる効果的なプロモーションを実施して参ります。

 こうした取り組みにより、ハイクオリティなやまなしブランドを国内外に浸透させ、本県が選ばれる産地として確固たる地位を確立し、県産農畜水産物の一層の消費拡大と生産者の所得向上につなげて参ります。

 

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パワー・ツー・ガスシステムの技術開発について

皆 川 脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギーの導入拡大に加え、石油や石炭に依存したエネルギー構造を大胆に転換する必要があります。

 脱炭素化は、世界の危機的状況を打開する環境対策であることに加え、菅総理はこれを経済政策としても着目し、経済と環境の好循環を図る「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を打ち出すなど、政権の目玉政策と位置づけております。

 このように、我が国をはじめ世界が脱炭素化の流れに乗り、技術開発や製品化、その普及などを加速化する状況においては、本県もこれを好機と捉え、特徴的なエネルギー関係の取り組みを前面に立て、他地域に先んじて施策展開を図るべきであると考えます。

 この点、本県では特に、水素・燃料電池分野が全国的にも例の無い特筆すべき取り組みを進めてきており、世界的研究実績を有する山梨大学との連携関係を軸にして、研究機関の集積や産業展開を進めてきております。

 これに加え、甲府市米倉山において、企業局が民間企業と共同で、太陽光の電力で水素を製造する先進的な「パワー・ツー・ガスシステム」の技術開発に取り組んでおり、過日、米倉山産の水素を、県内の工場やスーパーマーケットで利用する実証試験が始まったと承知しております。

 私は、燃焼させればロケットを飛ばせるほどのエネルギーを生みながらも、温暖化ガスを排出しない水素の活用が、カーボンニュートラル社会への最後の扉を開く鍵になるものと期待しています

 そこで、パワー・ツー・ガスシステムの技術開発及び実証試験の状況と、世界中で取り組みが加速しているカーボンニュートラル社会の実現に向け、この世界最先端の技術を活用することで、今後、どの様な事業展開を計画しているのか、お伺いします。

 

 

長崎知事 本県では、エネルギービジョンに基づき、2030年度の電力自給率7割を目標に、本県の特性を生かした太陽光や水力発電など、多様な再エネをバランスよく導入することとし、取り組みを進めて参りました。

 その結果、直近の2019年度の電力自給率は約6割と順調に推移しておりますが、内訳をみると、事業用太陽光発電の導入が、固定価格買取制度が開始した2012年度と比較して17倍と突出しております。

 こうした中、本県では条例で森林等への太陽光発電の設置を規制することから、2050年カーボンゼロに向けた国の方針を踏まえ、新たな視点で再エネ導入の加速に戦略的に取り組むことが求められます。

 このため、現在進めている小水力発電の開発有望地点調査に加え、バイオマス発電や屋根置き太陽光発電など、本県における再エネ導入ポテンシャルについて調査することとし、6月補正予算に所要の経費を計上いたしました。

 これと並行して、市町村や経済団体、消費者団体などで構成する検討会議を立ち上げ、再エネの導入形態に応じた導入量等を内容とする導入シナリオを検討し、本年度中に新たな導入目標を設定いたします。

 更に、目標達成に向けて導入シナリオの実現を図っていくためには、地域の特性や県民ニーズ等を踏まえた具体的な事業モデルを検討し、県下全域に展開していくための仕組みが重要となります。

 このため、市町村やエネルギーサービス事業者、金融機関の他、設備業者等のステークホルダーも加えた推進組織を設置し、関係者一丸となって再生可能エネルギーの導入を強力に推進して参ります。

 

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教員の働き方改革に係る今後の部活動の方向性について

皆 川 学校の先生は忙しいとよく言われますが、学校では日々の授業づくりや個々の子供一人ひとりの実情に応じた児童一生徒対応など、複雑化・多様化した業務が増大しており、このような状況を解消しないと、優秀な教員を確保することが困難になってしまうと危惧しております。

 今、学校は教員が働き方を変えていかなければならないという、大きな転換期を迎えており、県教育委員会では、この3月に新たに「学校における働き方改革に関する取組方針」を策定し、教員の多忙化改善に向けて、更なる働き方改革の推進に取り組んでおります。

 その目的は、教員のこれまでの働き方を見直して、子供だちと向き合う時間を確保し、子供たち一人ひとりの豊かな学びや健やかな成長を目指した教育の充実を図り、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことであると承知しております。

 私は、多忙化の要因の中でも、公立中学校・県立高校のすべての教員が関わる部活動が大きな負担になっていると考えております。

 令和2年度に県教育委員会が実施した調査においても、多くの教員が、週休日に勤務する理由を部活動指導と回答しており。土日の時間外に部活動に関わる教員の実態が明らかとなっております。

 こうした結果となっているのは、他校との練習試合や大会参加など、その活動の多くが休日でないとできないもので、指導者である教員がその場で指導しなければ成り立たないためであり、生徒やイ呆護者の思いに応えようとすることが、結果として負担を増すことにつながっているのだと考えております。

 一方、生徒たちが部活動で培った向上心や人間性は、その後の人生を歩む上で大きな力となり、部活動に関わった教員や苦楽をともにした仲間とのつながりは、一生の財産になります。

 先月、2年ぶりに県高校総体が開催されました。私は、大会中の生徒たちの溌剌としたプレーをはじめ、最後まで諦めない姿勢や仲間を精一杯応援する姿を拝見し、部活動には、授業では学ぶことのできない大切なものがあることを改めて実感したところです。

 部活動における教員の休日勤務の実態を改善することや生徒の部活動の機会を保障することなど、相反する難しい課題があることは承知しておりますが、部活動を持続可能なものにしつつ、教員の働き方改革を推進していく必要があります。

 生徒にとって望ましい部活動を実現しながら、教員の働き方改革を推進するため、県では、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。

 

 

教育長 議員御指摘のとおり、公立中学校・県立高校の教員における部活動の負担は非常に大きく、とりわけ土日及び休日での時間外勤務が顕著となっております。

 このため県では、部活動ガイドラインを示し、大会参加や練習試合が過重負担とならないよう見直すことや、適切な休養日の設定などについて、指導・助言を行って参りました。

 更に、この3月には教員の働き方改革を着実に進めていくために「新たな取組方針」を策定し、具体的な数値目標を掲げたところであります。

 この中で部活動については、平日1日と土日どちらか1日を休養日とする顧問の割合を令和5年度末までに中学校で100%、高校で90%以上を目標として取り組むこととしております。

 また、中学校では教員に代わって外部人材を活用する「部活動指導員 任用事業」により、教員の負担を軽減しながら生徒が専門的な指導を受けられるよう、部活動の環境整備を進めております。

 更に本年度からは、国の財源を活用した実践研究を実施し、教員が中心となって行われている土日及び休日の部活動を、地域の人材を中心とした部活動に段階的に移行する取り組みを進めて参ります。

 こうした取り組みを通して、教員の働き方改革と生徒にとって充実した部活動の両立を図り、豊かな人間性等を育む教育を推進して参ります。

 

再質問

皆 川 県立男女共同参画推進センターの集約化について再質問いたします。

ぴゅあ峡南やぴゅあ富士を廃止されますと、これまで各地で取り組んできた男女共同参画や女性活躍推進などの活動が、活動拠点を失い衰退する恐れがあります。

 地域で活動できる拠点をしっかり残すべきだと考えますがこの点についての見解をまずお伺いします。

 また、3月に「男女共同参画推進センターの集約方針の見直し」についての請願が県議会の議会運営委員会委員全員が紹介議員となり、全員一致で採択されております。このことは、言い換えれば県民の代表である県議会議員全員が推進センターの集約化に疑問を持ち、賛成しがたい意思を県民の代表として示したものと考えられます。このような請願の重みを知事はどう受け止められているのかお聞きしたいと思います。

 

県民生活部長 センターの集約方針の見直しを求める請願が採択されたことにつきましては、非常に重く受け止めており、改めて市町村や女性団体等の御意見を伺い、検討を進めて参りました。

 県といたしましても、議員御指摘のとおり、地域において活動が継続できる場は必要であると認識しており、利用者の皆様の御意見を伺いながら、継続して活動できるよう、支援策を講じて参ります。

 

皆 川 本来は知事が請願の重さをどう受け止めているか聞きたかったが、今の答えだと継続して検討するといっているが、具体的には、ここで3館を1館にしてしまう結論ありきでなくて、今後も皆さんの意見を聞きながら慎重に審議していくと理解してよろしいか、その点を伺います。

 

県民生活部長 活動が継続できる場につきましては、地元市町や利用者の皆様方とご相談、ご意見を交わしながら確保に努めて参りたいと考えております。

 

 

 

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山梨県議会議員 皆川いわお

〒400-0031 甲府市丸の内3-6-2

TEL 055-222-5313 FAX 055-233-3301

E-mail : minagawa@nns.ne.jp