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■令和2年9月定例 代表質問・答弁

質問項目

1.ウィズコロナ・ポストコロナを見据えた移住・定住施策の推進について

2.自主財源の確保について

3.新型コロナウイルス感染症の再拡大に備えた病床確保について

4.医療従事者へのメンタルヘルスケアについて

5.高齢者の口腔機能の維持向上について

6.子どもの死亡検証の推進について

7.新型コロナウイルス感染症影響下における雇用の維持について

8.水素・燃料電池関連施策の推進について

9.コロナ禍を乗り越えるための観光施策について

10.甲府城の整備と活用について

11.ぶどうの晩腐病の対策について

12.気候変動を踏まえた治水対策について

13.教員の働き方改革について

皆 川 私は、自民党誠心会を代表いたしまして、今定例県議会に提出されました案件並びに県政一般について質問をいたします。

  まず初めに、去る七月、熊本県を中心とする九州地方のほか、全国各地を襲った令和二年七月豪雨により被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

  また、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、感染された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

  さて、去る十六日、第二百二回国会において、我が自由民主党の菅義偉総裁が第九十九代内閣総理大臣に選出されました。

  今、世界、日本、そして本県は、新型コロナウイルスによる未曽有の事態の真っただ中にあります。また、経済情勢、国際情勢も一層不透明感を増しています。

  「大いなる意欲のあるところに、大いなる困難はない」との言葉があります。新内閣総理大臣には、この困難な時代にあっても、全身全霊をもって我が国を明るい未来に導かれることを期待しているところです。

  一方、県政では、長崎知事は、新型コロナウイルス感染症対策に加え、コロナ後の時代を見据えた新たな施策を矢継ぎ早に打ち出しております。

  その卓越したリーダーシップは高く評価しておりますが、この危機的な状況においては、県議会と執行部が車の両輪となって、英知を絞っていくことが重要であります。

  私は、地方議会における二元代表制の原則に立ち、個々の政策課題に対する責務を全うするため、真摯な識論を展開してまいりたいと考えております。

  我が自民党誠心会は、ふるさと山梨の県民生活の向上を目指し、長崎知事とともに、一丸となって県政発展に、全力で取り組むことをお誓いし、以下、質問に入ります。

 

 さて、先月はトランプ大統領が来日し、日米首脳会談が行われ、日米関係がより強固になるとともに、今月は大阪で日本が初の議長国となるG20サミットが開催されることになります。我が国が、世界経済の牽引や地球規模の課題への対応など、国際的リーダーシップを発揮することに期待をいたすものであります。

 本県においては、今こそ、希望に満ちた将来の山梨の発展に向けて、さまざまな施策に取り組む絶好の機会と考えます。

 進化論を唱えたダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」と言っています。

 長崎知事を先頭に、県庁職員が総力を結集し、積極的に行動するとともに、時代の変化にも柔軟に対応できるよう精進すべきと考えています。

 また、本議会は、本年4月の選挙により新たにスタートし、令和最初の県議会となります。これまでも、議会としての監視機能や政策立案機能の強化など、さまざまな改革に取り組んできたところであります。

 大柴議長におかれましては、これまでの議会改革の流れを受け継ぎ、さらなる議会改革に取り組むことを表明されました。私たち自民党誠心会も、議長の議会改革に対する熱意を受けとめ、ともに協力してまいる所存であります。

 私は、地方議会における二元代表制の原則に立ち、個々の政策課題に対する責務を全うするため、真摯な議論を展開してまいりたいと考えております。

 また、ふるさと山梨の県民生活の向上を目指し、長崎知事とともに、県政発展のため全力で取り組むことをお誓いし、以下、質問に入ります。

1

ウィズコロナ・ポストコロナを見据えた移住・定住施策の推進について

皆 川 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、政治、経済、社会、文化、教育など、あらゆる分野で物事に対する見方や考え方が変化してきており、新たな働き方として、これまでにない規模でテレワークが拡大、浸透してきております。
 東京商工会議所が会員向けに実施した調査でもテレワークの実施率は、本年三月の二六%から、五月には六七・三%と四〇ポイントも増加しました。
 また、新聞報道によると、東京都心では、オフィスを縮小したり、オフィスワークを原則テレワークに切りかえたりする企業もあらわれ、オフィスの空室率が七月まで五カ月連続で上昇するなど、働き方の変化は数字にも明確にあらわれております。
 都市部では、人口集中による弊害として、いわゆる三密の回避が難しく、パンデミックやクラスターの発生により医療崩壊の可能性が高いなど、その脆弱性が露呈し、東京一極集中から地方へと流れが大きく変化してきています。
 知事は、この流れを的確に捉え、八月に組織再編を行い、グリーン・ゾーン推進課を新設し、やまなしグリーン・ゾーン構想の推進体制の強化を図ることとしました。
 あわせて、地域創生・人口対策課を県民生活部からリニア交通局へ移管するとともに、リニア推進課をリニア未来創造・推進課に改組し、リニアやまなしビジョンの推進に加え、地域政策や二拠点居住に係る関連業務をリニア交通局に集約しました。
 年度中途にもかかわらず、時代の変化に柔軟に対応し、県の組織体制の強化を図るという知事の行動力は高く評価するものであります。
 新たな体制のもと、感染防止と経済活動の両立を図るグリーン・ゾーン構想をさらに推進することにより、県民の安全を確保するのみならず、県外からも安心して来訪していただけるようになり、リニアやまなしビジョンに掲げるテストベッドの聖地化、関連産業の集積に加え、二拠点居住を含めた新たな暮らし方や働き方を実現させることにより、首都圏の一角を担う山梨県が移住先として選ばれる地域になるものと確信しております。
 そこで、移住・定住施策について、これまでの施策に加え、今後、ウイズコロナ・ポストコロナを見据え、どのように推進していくのか、御所見をお伺いします。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、政治、経済、社会、文化、教育など、あらゆる分野で物事に対する見方や考え方が変化してきており、新たな働き方として、これまでにない規模でテレワークが拡大、浸透してきております。

  東京商工会議所が会員向けに実施した調査でもテレワークの実施率は、本年3月の26%から、5月には67.3%と40ポイントも増加しました。

  また、新聞報道によると、東京都心では、オフィスを縮小したり、オフィスワークを原則テレワークに切りかえたりする企業もあらわれ、オフィスの空室率が7月まで5カ月連続で上昇するなど、働き方の変化は数字にも明確にあらわれております。

  都市部では、人口集中による弊害として、いわゆる三密の回避が難しく、パンデミックやクラスターの発生により医療崩壊の可能性が高いなど、その脆弱性が露呈し、東京一極集中から地方へと流れが大きく変化してきています。

  知事は、この流れを的確に捉え、8月に組織再編を行い、グリーン・ゾーン推進課を新設し、やまなしグリーン・ゾーン構想の推進体制の強化を図ることとしました。

  あわせて、地域創生・人口対策課を県民生活部からリニア交通局へ移管するとともに、リニア推進課をリニア未来創造・推進課に改組し、リニアやまなしビジョンの推進に加え、地域政策や二拠点居住に係る関連業務をリニア交通局に集約しました。

  年度中途にもかかわらず、時代の変化に柔軟に対応し、県の組織体制の強化を図るという知事の行動力は高く評価するものであります。

  新たな体制のもと、感染防止と経済活動の両立を図るグリーン・ゾーン構想をさらに推進することにより、県民の安全を確保するのみならず、県外からも安心して来訪していただけるようになり、リニアやまなしビジョンに掲げるテストベッドの聖地化、関連産業の集積に加え、二拠点居住を含めた新たな暮らし方や働き方を実現させることにより、首都圏の一角を担う山梨県が移住先として選ばれる地域になるものと確信しております。

  そこで、移住・定住施策について、これまでの施策に加え、今後、ウイズコロナ・ポストコロナを見据え、どのように推進していくのか、御所見をお伺いします。

 

 

知 事 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークが一般化し、都市部と地方部双方に生活と仕事の拠点を持つライフスタイルである二拠点居住のニーズが急激に高まっており、本県としては、これを強力に推進すべきと考えております。

  二拠点居住の推進に当たりましては、東京圏に隣接していながら豊かな自然環境を有するとともに、近い将来には、リニア中央新幹線が開業するなど、本県には他に類を見ない優位性があります。

  加えて、グリーン・ゾーン構想の推進により、国内外から信頼をかち取ることが本県のさらなる強みとなると、このように確信をしているところでございます。

  このため今後は、こうした強みを積極的にPRしながら、スタートアップ企業や団体を重点ターゲットとして、戦略的な政策パッケージを迅速かつ機動的・弾力的に展開してまいります。

  その第一弾といたしまして、今回の補正予算におきましては、まず二拠点居住のきっかけ・出発点とも位置づけられるワーケーションにつきまして、ホテルや旅館の施設改修への助成や体験プログラムの造成を行い、地元観光事業者や旅行業者と連携しながら、受け入れの拡大を図ることなどを通じまして、二拠点居住につなげてまいります。

  また、サテライトオフィス等として活用するための廃校舎や公民館、空き家などの改修経費への助成、小規模オフィスの移転や社宅の設置等に関する助成など、新たな支援策を展開しながら、二拠点居住の受け入れ基盤も強化・拡充いたします。

  さらに、こうした支援策が着実に活用されるように、企業への説明会や意向調査、視察ツアー等を実施してまいります。

  ウイズコロナ・ポストコロナを見据え、県庁一丸となって、山梨の未来像、将来像を描きながら、二拠点居住を強力に推進してまいります。

 

2

自主財源の確保について

皆 川 県内景気は、平成29年7月に端を発する米中の貿易摩擦などの影響により、後退傾向にあるとされ、県が先月発表した令和元年度の一般会計決算では、企業業績の悪化などを背景に、県税収入は約935億8700万円と、前年度に比べ34億円余り、率にして3.5%下回りました。

  また、本県の令和2年度当初予算では、一般会計の歳入総額に占める県税収入の割合は2割程度であり、自主財源比率を見ますと、平成30年度決算では42.8%で、全国30位となっており、歳入の多くを地方交付税や県債などの依存財源に頼らざるを得ない状況にあります。

  私は、本県が魅力ある地域づくりを推進していくためには、新たな税源の創設など、幅広く自主財源を確保することで、財政の安定・強化を図ることが不可欠と考えております。

  そこでまず、自主財源の確保に向けた県としての基本的な考え方についてお伺いします。

  また、私は、自主財源の確保について、昨年6月議会において、県議会が昨年3月に提出した「地下水に着目した法定外税導入に関する政策提言」を踏まえ、法定外税の早期導入を求めたところであります。

  本県は、ミネラルウオーターの生産量が全国1位であり、豊かな自然から生み出される良質な地下水に着目した課税は、有力な自主財源の候補であります。

  県では、昨年8月、本県にふさわしい税制のあり方について幅広く検討するため、山梨県地方税制等検討会を設置し、これまでに4回の検討会を開催しておりますが、これまでの検討状況と今後の見通しについて、あわせてお伺いします。

 

 

知 事 人口減少が深刻化し、財政状況が厳しさを増す中、リニア中央新幹線の開通効果の全県への波及や、富士山世界遺産の保全といった本県特有の地域課題、あるいは新型コロナウイルス感染症などの想定できない緊急事態にも機動的に対応し、持続可能な行政運営を図っていくためには、議員御指摘のとおり、財政面で過度に国に依存することなく、自主財源の確保に努めていく必要があります。

  県におきましては、令和2年度に、全庁の財源確保対策を統括する資産活用室を総務部に設置するとともに、各部局の企画調整主幹等を構成員とする調整会議を開催してきており、全庁を挙げ、徹底的な歳出の削減と新たな歳入の確保の両面において、これまで以上に取り組みを進めていくこととしております。

  まず、歳出の削減につきましては、先日開催した行政改革推進本部におきまして、各部局長に対し、事業の総点検を行い、廃止、縮小、簡素化など、見直しに取り組むよう指示をしたところであり、今後、聖域なき事業の見直しに取り組んでまいります。

  また、歳入の確保につきましては、県税の徴収率向上や、未利用地の売却などの公有財産の有効活用を進めるほか、従前の手法にとらわれることなく、クラウドファンディングの活用など、さまざまな取り組みを進めてまいります。

  さらに、御指摘のありました法定外税を初め、課税自主権の活用を図ることは、本県の財源確保にとりまして有益なものであります。

  昨年、県議会からいただきました政策提言などを踏まえ設置した検討会におきましては、まず、本県の財政状況、地下水等に関する本県の事業などを確認し、その後、担税力や課税客体などについて、さまざまな観点から御議論をいただいております。

  委員からは、広く薄く負担を求める観点から、営利目的の地下水の採水行為を課税客体とすべきとの意見がある一方で、ブランド力のある地下水を使った製品の付加価値に着目し、地下水を製造現場から移出する行為を課税客体とすべきとの意見もいただいております。

  今後は、第4回検討会において指摘がありました産業界の実態を把握するための調査を行い、引き続き論点を整理しながら、検討を前に進めてまいります。

 

3

新型コロナウイルス感染症の再拡大に備えた病床確保について

皆 川 本県では、7月に22名、8月に76名、合わせて約100名の感染者が発生し、第2波を迎えました。

  感染者の傾向を見ると、当初は若者の感染が多かったものの、8月以降、高齢者の感染が相次ぎ、重症者や死亡者も発生しました。

  今後も、ウイルスは消え去ることはなく、今冬季に関してはワクチンが接種できるかわからないことから、感染の波が再び訪れることが十分考えられます。

  県民の多くは、こうした感染拡大期でも、自分や家族が感染した場合、受け入れる病院があるか、不安を抱いていることと思います。

  現在、東京などを中心に、自宅療養者の数が拡大しておりますが、容体急変時の対応や家庭内感染などの課題が大きいこと、そして何よりも県民の不安が大きいことから、入院あるいは宿泊療養のいずれかを基本とするべきだと考えます。

  こうした中、県では、7月に新たな患者推計と病床確保計画を発表し、病床等の確保を進めてきたと承知しております。

  感染が判明した方が、きちんと療養できる体制を構築することは大変重要でありますが、現在、十分な病床や宿泊療養施設の確保ができているのか、まずお伺いします。

  一方で、目の前の感染症対策に全力で取り組むことは大切でありながらも、通常の医療が犠牲になることは可能な限り回避しなければなりません。

  新型コロナウイルス感染症に対応する病床の多くは、地域の中核的な病院で確保しているものと思いますが、これらの病院は、地域に根差した医療を提供するという重要な役割を担っております。

  本県は、都市部に比べると、医療従事者や病院などの医療資源は脆弱であり、コロナのために多くの病床を確保すればするほど、通常の医療への対応が希薄になってしまいます。

  また、これまでのコロナ対応で医師や看護師は疲弊しており、持続的に医療を提供するためには、こうした病院への負担を軽減する配慮も必要であります。

  入院病床の確保に当たっては、医療機関の役割分担や宿泊療養施設の積極的な活用など、通常医療と両立を図るための工夫が必要と考えますが、どのように運用していくのか、お伺いします。

 

知 事 新型コロナウイルスは、誰もが感染する可能性があり、蔓延期にあっても患者が安心して確実に治療が受けられる体制の構築が必要であります。

  まず、病床や宿泊療養施設の確保についてですが、本年7月に新たに策定した病床確保計画に基づき、病院で250床、宿泊療養施設で百室の確保に向けて取り組んでまいりました。

  先月までに、入院患者用の病床は285床を確保済みであり、既にピーク時の想定患者数246人を上回る十分な水準と認識しておりますが、宿泊療養施設の追加の確保につきましても、適切に対応してまいります。

  こうした病床の確保は、県内各地の11病院に御協力をいただいており、これら全ての病院を重点医療機関として指定し、空床確保や設備整備などに必要な財政支援を強力に行ってまいります。

  次に、通常医療との両立についてですが、重点医療機関におけます病床の運用に当たっては、患者数に応じて、4つのフェーズごとに順次必要な病床を稼働させるとともに、軽症者や無症状者で、重症化リスクが低い場合は、早い段階で宿泊療養施設へ移動していただくことにより、通常医療への圧迫を可能な限り回避してまいります。

  このほか、周辺医療機関からの医師・看護師等の派遣や救急の疑い患者を受け入れる協力医療機関の設定など、一部の医療機関に過度な負担がかからないよう対策を進めてまいります。

 

4

医療従事者へのメンタルヘルスケアについて

皆 川 今般の新型コロナウイルス感染症は、人類が初めて対峙する未知のウイルスであり、医師、看護師などの医療従事者は、自身の感染リスクと向かい合いながら日々の治療に当たっています。

  また、自身が発生源となって感染を拡げないよう、同居家族と接する時間も最小限にとどめるなど、細心の注意を払って生活している方が多数いると伺っており、医師・看護師などの医療従事者は、連日、公私ともに、はかり知れないストレスを抱えながら職務に当たっています。

  新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、適切な医療を提供し続けるためには、医療従事者のストレスをいかに軽減していくかが肝要であります。

  また、新型コロナウイルス感染症以外でも、医療現場では生死にかかわる重篤な患者を受け入れており、医療従事者は、自身の医療技術を総結集して患者の治療に注力しております。

  しかしながら、努力のかいなく患者の死亡など、思い描くような結果を導くことができない事態に直面した際には、強い自責の念を覚えるとともに、長きにわたり心に傷を負う傾向が強いと言われております。

  国では、労働者の勤務環境を改善するため、時間外労働の上限設定、確実な休暇取得などの働き方改革を進めており、医師以外の職種については、平成31年度から既に適用が始まり、医師についても令和4年度から適用される予定となっております。

  勤務環境の改善は、労働時間の縮減だけでなく、内面のストレスを軽減する中で、初めて最大限の効果が得られるものであり、特に命と向き合っている医療従事者には、心の安寧が不可欠であります。

  そこで、日々不安と緊張を伴う厳しい環境の中で治療などに従事する医療従事者へのメンタルヘルスケアに対する県の取り組みについてお伺いします。

 

知 事 新型コロナウイルス感染症への対応を初め、県民に適切な医療を提供していくためには、医療従事者の心のケアに向けた対策は喫緊の課題であります。

  日夜、人の生死にかかわる医療現場の特殊性に鑑みまして、同じ経験などを有する医療従事者が早目に手を差し伸べ、心の傷や悩みなどを共有し、解決できるものは速やかに解決していく、これが精神的な負担を少しでも軽減していくために効果的であると考えております。

  このため、県内の多くの医療機関へ医師を派遣している山梨大学と連携し、メンタルヘルスケアに関するサポート体制を構築することとし、所要の経費を9月補正予算に計上いたしました。

  具体的には、医師・看護師などを対象に多くの医療機関に参加を呼びかける中で、メンタル不調の可能性がある同僚の見きわめ方や、対応する際の知識、技能などを習得するための研修会を開催いたします。

  また、これまでの相談体制は、所属する医療機関内にとどまり、参考となる情報が限られていたことから、山梨大学が中心となって医療機関を横断するネットワークを構築し、幅広く事例を共有する中で、よりよい対応策の検討を進めてまいります。

 

5

高齢者の口腔機能の維持向上について

皆 川 厚生労働省の人口動態統計によると、令和元年度に誤嚥性肺炎で亡くなられた方は全国で約4万人であり、そのほとんどを高齢者が占め、10年前に比べて2倍以上に増加しております。

  誤嚥性肺炎は、高齢になるにつれて身体機能が衰え、飲み込み機能の低下により、口腔内の細菌などが誤って気管に入って引き起こされるとされ、口腔内の衛生管理を適切に行うことや、口腔機能を維持することで、予防することができるといわれています。

  私の身近でも、誤嚥性肺炎で亡くなられた方がおり、口腔内の健康保持は非常に重要であることを、改めて実感したところであります。

  日本歯科医師会によると、適切な口腔衛生管理を行うことで、歯周病によるウイルス感染が抑制され、腸内環境のバランスが整えられて全身の免疫力が高まるため、ウイルス感染症の発症、重症化の予防にもつながるとされております。

  さらに、口腔機能が衰えた状態であるオーラルフレイルが進行すると、栄養摂取量が減少し、運動機能や認知機能が低下するなど、健康な高齢者と比べて、要介護状態となるリスクが2.4倍に高まるとの調査結果もあります。

  高齢化が進展する中で、今後、健康寿命をさらに伸ばしていくには、高齢者の口腔機能の維持向上を図ることにより、高齢化に伴ってかかりやすくなる疾病を予防し、要介護状態となるリスクを軽減することが重要と考えます。

  そこで、県として高齢者の口腔機能の維持向上にどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

福祉保健部長 議員御指摘のとおり、誤嚥性肺炎など高齢化に伴い増加する疾病や、ウイルス感染症を予防するとともに、要介護状態となるリスクを軽減するためには、口腔内の健康を保つことが重要であります。

  このため、県では、8月から県歯科医師会と連携し、高齢者だけでなく18歳以上の県民を対象に、歯の健康状態の確認や口腔衛生指導を行う無料の歯科検診を実施しております。

  特に、高齢者に対しては、日常的に口腔ケアに取り組んでいただけるよう、嚥下機能の低下を予防する体操や、適切な口腔衛生管理の具体的な手法を紹介したDVDを作成し、10月には、市町村や地域包括支援センター、介護施設などに配布することといたしております。

  さらに、高齢者が要介護状態とならないためには、介護予防事業においても口腔ケアの取り組みを強化する必要があることから、専門的な知識を有する歯科衛生士を、新たにオーラルケアリーダーとして養成し、市町村へ助言を行うなど、県、市町村、県歯科医師会などが一体となって、高齢者の口腔機能の維持向上に取り組んでまいります。

6

子どもの死亡検証の推進について

皆 川 親からの育児放棄やしつけと称した暴力により命を落とす子供たち、いじめによるネット上の悪口、誹謗中傷、個人情報の流出に耐え切れなくなって、みずから命を絶つ子供たちなど、目を覆いたくなるような現実が連日のように報道されています。

  コロナ禍でのストレスも問題視される中で、その対策は喫緊の課題といえます。

  妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない子育て支援施策の充実はもちろんですが、この世に生を受けた全ての子供の命を大切にし、安全で健やかに成長できる環境を整えることの大切さを、私自身、二人の子供を育て上げた親としても、痛切に感じています。

  こうした中、県では、全国に先駆けて、予防可能な子供の死を減らすことを目的とした子供の死亡検証、いわゆるチャイルド・デス・レビューの制度化に向けたモデル事業に取り組んでいます。

  安心して子供を生み育てることができる環境を整備する上で重要な取り組みであり、その成果に期待しているところであります。

  日本小児科学会の子どもの死亡登録・検証委員会が、全国155の医療機関を対象に、2014年度から2016年度に発生した18歳未満の死亡事例約2000件を分析したところ、対策を講じていれば防げた可能性のある事案が4分の1に上ることが判明しております。

  どのような理由であれ、防げる子供の命が犠牲になることはあってはなりません。

  子供の命を守るための先駆的な取り組みに果敢に挑戦する知事の姿勢は大いに評価するところであり、本県のこれまでの取り組み状況と、今後どのように進めていくのか、お伺いします。

 

知 事 子供の死亡症例を確実に検証し、予防策につなげるためには、まずは、死亡前の医療の提供状況や養育状況、死に至る直接の経緯など、幅広い情報を得ることが不可欠であります。

  このため県では、死亡事案にかかわった多くの関係機関の協力体制を構築する必要があると考え、昨年8月、全国に先駆けて医療従事者や警察、教育、福祉などの行政機関で構成する検討会を設置し、取り組みへの理解を深めながら、情報の共有や連携のあり方などについて検討を重ねてまいりました。

  また本年度は、国のモデル事業における個人情報の取り扱いに万全を期すため、個人情報の取り扱い基準を作成し、関係職員への徹底を図るとともに、さまざまな情報を収集し、一元的に管理する必要があることから、その手順や様式を定めた実施要綱を作成するなど、事業の円滑な実施に向けた環境整備を進めてきたところであります。

  今後は、医療従事者や司法関係者などの専門職や有識者をメンバーとする個別事案の検証委員会を今月にも立ち上げた上で、死亡した子供一人一人の情報の詳細な分析、検証に着手し、悲しい死を繰り返さないための効果的な予防策の検討を行ってまいります。

  また、本モデル事業を実施する中で生じた課題等を整理し、国にフィードバックするなど、早期にチャイルド・デス・レビューが制度化され、本県はもちろん、全国において一人でも多くの子供の死亡が防げるよう鋭意取り組んでまいります。

 

7

新型コロナウイルス感染症影響下における雇用の維持について

皆 川 山梨労働局の発表によると、7月の山梨県内の有効求人倍率は0.93倍と、2カ月連続で1倍を下回り、新型コロナウイルス感染症の影響により、雇用情勢は厳しさを増しております。

  また、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等見込み労働者数は、9月11日時点で、全国では5万4817人、県内では245人とのことです。

  業種別の内訳としては宿泊業が最も多く59人、次いでサービス業が56人、卸小売業が41人であり、県内雇用にも確実に影響を及ぼしております。

  本県の就業者数に占める解雇等の見込み労働者数の割合は全国34位と比較的低い水準にとどまっておりますが、これは、事業活動が縮小しても雇用調整助成金などを活用しながら雇用の維持を図り、解雇しないよう努力を続けている結果であります。

  雇用の維持は、県民の生活の根幹にかかわる、命の次に重要な問題であり、新型コロナウイルス感染症の影響に耐えながら、懸命に雇用を維持されている経営者の皆様に、心から敬意を表したいと思います。

  国では、雇用調整助成金の特例措置を12月末まで延長することとしましたが、雇用情勢が大きく悪化しない限り、来年1月以降は段階的に縮減していくこととしております。

  雇用調整助成金の特例措置の縮減により、企業が重要な人材を手放すことがないよう、雇用をつなぎとめるためのさらなる支援策が必要とされているのではないでしょうか。

  一方で、民間調査会社の調査によると、建設業やメンテナンス・警備等、教育サービスなどの分野では人材不足が続いており、県内の職業別求人倍率を見ても、建設関係や医療・福祉などの分野では依然として高い水準となっております。

  このような状況から、新型コロナウイルス感染症の影響により業績が悪化し、一時的に人手が余っている人材を、人手が不足している企業で活用するような工夫も、雇用を維持するためには効果的であると考えます。

  今後、新型コロナウイルス感染症の影響次第では、従業員解雇の増加も懸念される中、県では雇用維持のためにどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

知 事 県内経済は現在、未曽有の危機に直面しており、このような中、雇用を維持していくためには、まずは企業に対し、十分な経営支援を行う必要があります。

  このため県では、信用保証料ゼロ、当初3年間実質無利子の特別融資を初めとする経済変動対策融資の融資枠を過去最大となる2700億円にまで大幅に拡充することとしており、資金繰りの支援を通じて、企業の経営の安定化を図ってまいります。

  特に、状況が悪化している宿泊業・飲食サービス業につきましては、金融支援に加えてグリーン・ゾーン認証を強力に進めているところであり、県のお墨つきにより、施設に利用者が戻り、事業者の業績の回復につながるよう、一層の普及に取り組みます。

  また、国の支援制度を最大限活用するため、雇用調整助成金や休業支援金などに関する相談対応や、社会保険労務士による申請サポートを実施しており、必要な方全てに支援が届くよう取り組んでまいります。

  さらに、議員御指摘のとおり、雇用の維持のためには、人手が余っている企業と人手が不足する企業を結びつけることが効果的であることから、異業種間の出向制度、いわゆる雇用シェアを促進することとし、所要の経費を9月補正予算に計上いたしました。

  具体的には、県が県内企業に対して、人材の過不足や出向のニーズに関する調査を実施し、この結果を踏まえ、企業間の出向などを支援している公益財団法人産業雇用安定センターと連携し、企業間の個別マッチングを図り、解雇者の増加防止に努めてまいります。

  県として、県内経済の安定化・反転攻勢に向け、あらゆる施策を出動し、産業全体の底上げを図り、雇用の維持に全力で取り組んでまいります。

8

水素・燃料電池関連施策の推進について

皆 川 「エネルギーを制する者は世界を制する」とは、国際経済の共通認識であり、現に世界中の国々が覇権を競ってきました。

  従前、このエネルギーとは石油などの化石燃料と同義でしたが、現在は環境負荷の少ないクリーンエネルギーへの転換が進み、クリーンな形で電力を製造し、活用する取り組みに世界の関心が移行しております。

  私自身、日ごろハイブリッド車を使用し、その技術の進展に目を見張っておりますが、今後は全く二酸化炭素を排出しない究極のエコカー、燃料電池自動車が世界を席巻する日も遠からず訪れるのではないでしょうか。

  本県の水素・燃料電池関連の施策は、燃料電池の世界的研究実績を有する山梨大学と早くから連携し、研究機関の集積を図ると同時に、その研究成果を活用した産業展開を進めてきました。

  また、企業局においても、甲府市米倉山において、太陽光を活用した先進的な水素製造等の取り組みを進めていると承知しております。

  このような中、県は今月、技術研究組合FC─Cubicの本県への移転決定を発表しました。

  FC─Cubicは、燃料電池に関し、国内を代表する有力な研究機関であり、今般の移転決定は、知事が先頭に立って進められてきた誘致活動の大きな成果であります。

  また、高度な専門性を有する技術研究組合は、法に基づいて設置される研究組織であり、全国に57の組合がありますが、本県では初の設置であり、この点も高く評価したいと考えます。

  さらに、FC─Cubicは、リニアやまなしビジョンが掲げるテストベッドの聖地化に向けた取り組みにおいても、最適な研究組織であり、今回の移転決定は、ビジョン実現に向けた大きな第一歩になると考えます。

  そこで、今般のFC─Cubicの本県移転がもたらす効果について、御所見を伺います。

  また、水素・燃料電池関連で、これほど研究機関等が集積し、同時に産業展開を図っている地域は全国でもまれであり、本県の取り組みの先進性や優位性をもっと対外的にPRしていくべきと考えますが、この点についても御所見をお伺いします。

 

知 事 まず、移転の効果についてですが、FC─Cubicは、国内を代表する燃料電池の評価解析機関であることから、素材研究で世界的業績を持つ山梨大学などとあわせ、本県は研究機関において全国最高の優位性を確立できるものと考えております。

  具体的な移転先としては、企業局が甲府市米倉山に計画する研究開発施設への入居を予定しており、従来の研究施設とともに、社会実装を指向した類例のない研究開発拠点を形成し、水素の製造、貯蔵、活用まで一気通貫の取り組みの充実を図ってまいります。

  また、産業振興に向けましては、FC─Cubicによる技術的助言が受けられるほか、最新研究成果が得られる技術交流会などが身近で行われるため、高度な知見が県内企業にももたらされ、関連産業への参入が一層促進されるものと考えております。

  さらに、FC─Cubicは、全国の企業、大学等の研究者をつなぐハブ機能を充実させ、セミナーなどの開催機会をふやす意向があることから、本県に優秀な研究者が集結し、交流するオープンプラットフォームが構築され、リニアやまなしビジョンが描くテストベッドの聖地化の最適な先例になるものと期待をしております。

  次に、本県の取り組みの対外的なPRにつきましては、議員御指摘のとおり、アピールが必要であると考えており、水素・燃料電池といえば山梨と多くの方に認識していただけるよう、産業系新聞の広告掲載、あるいはメディア向けツアー、国際展示会への山梨ブースの設置に早急に取り組むこととし、所要の経費を9月補正予算に計上いたしました。

  今後も、水素社会の実現で、世界に貢献する山梨を目指し、関連施策の一層の充実を図ってまいります。

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コロナ禍を乗り越えるための観光施策について

皆 川 観光は、宿泊業はもとより、飲食や交通、土産物の小売りや製造などにも波及する裾野の広い産業であり、観光消費の拡大は、地域経済全体の活性化につながるものであります。

  県政のかじ取り2年目を迎えた長崎知事は、伝統芸能や文化財などの文化資源を観光に活用した文化観光を強力に推進するため、本年4月に観光文化部を設置しました。

  国においても、本年4月に、文化観光推進法を制定したところであり、観光振興と文化振興を一体的に行うこの組織再編は、まさに時宜を得たものであります。

  ところが、本年1月に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降、感染者は増加の一途をたどり、文化観光による山梨県経済の牽引に向けた取り組みは、そのスタートから大きな困難に直面しております。

  また、本県に観光シーズンの到来を告げる信玄公祭りを初め、県内各地の花火大会、吉田・南部の火祭りなど、山梨県を代表する集客イベントは中止を余儀なくされ、多くの観光客が訪れる富士山の登山道も閉鎖されるなど、昨年までのにぎわいには、ほど遠い状況であります。

  先月公表された宿泊旅行統計調査の結果を見ても、本年1月から6月の県内延べ宿泊者数は、平成23年以降で最も少ない158万人余りにとどまり、本県の観光産業が直面する危機的状況を裏づける結果となっています。

  しかしながら、6月に入り、県内延べ宿泊者数は、前年同期比で23.7%、5月よりも12.3ポイント改善しており、日本人観光客に限れば、観光需要の低迷は5月で底を打ったといえるのではないでしょうか。

  また、第2波により、感染が拡大した東京都や、その隣接県の感染者数も、ようやく減少傾向に向かっており、今月18日には、GoToトラベルキャンペーンの東京発着旅行の予約が解禁されたところです。

  私は、その機を逸することなく、首都県からの誘客を図り、県内各地が観光客でにぎわいを取り戻すことを切に望むものであります。

  そのためには、まずは、日本人の観光需要をしっかり取り込むため、新たな観光コンテンツの充実や、観光資源のさらなる高付加価値化を図り、この史上最悪のコロナ禍を乗り越えなければなりません。

  また、外国人宿泊客の比率が高い本県がコロナ禍を乗り越えるためには、外国人の観光需要を取り込むことも不可欠であることから、新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間を準備期間と位置づけ、受け入れ環境整備などを積極的に進めるべきであります。

  そこで、コロナ禍を乗り越えるための観光施策をどのように進めていくのか、具体的な取り組みについてお伺いします。

 

知 事 本県観光産業は、未曽有の国難といわれる新型コロナウイルスの影響によりまして、壊滅的な打撃を受けており、本年2月から8月までの観光消費額は、推定で前年に比べ2064億円の減少となりました。

  観光産業が、こうした危機的状況を乗り越えるためには、まずは回復基調で推移している日本国内の観光需要を確実に取り込むとともに、外国人観光需要が回復するまでの周到な準備が重要であります。

  超感染症社会におきましては、感染防止対策が徹底された安心と信頼がブランド価値となり誘客につながることから、県内全域にグリーン・ゾーン構想を浸透させ、認証施設の増加促進に努めてまいります。

  また、新たな観光形態において観光消費額を増加させるためには、単価の引き上げが不可欠であることから、観光産業全体の一層の高付加価値化を推し進めることとしており、今後、本県のさまざまな観光資源を磨き上げていく必要があります。

  このため、本県が誇る山や湖が育んだ豊かな自然や、四季折々の景観などを最大限に活用した、三密にならないアウトドア・アクティビティの充実や、これまでは観光資源として必ずしも十分な活用が図られてこなかった文化芸術施設や神社仏閣、歴史的価値のある文化財などを核とした、新たな文化観光モデルの創出にも取り組むこととしております。

  加えて、食も重要な観光コンテンツであることから、県内気鋭の料理人の方々と生産者との交流を後押しするとともに、食文化と観光の連携強化を図り、本県オリジナルの美食ブランドの創造を目指してまいります。

  さらに、外国人観光客への対応につきましては、入国規制の緩和を見据えながら、観光資源の解説を多言語化するなどの受け入れ準備を進めるとともに、ウイズコロナ社会に対応したデジタルプロモーションを企画するなど、他県に先駆けた誘客に努めてまいります。

  こうしたさまざまな施策を計画的かつ速やかに実施することにより、県内観光産業の高付加価値化を図り、コロナ禍を乗り越えられるよう、全力で取り組んでまいります。

 

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甲府城の整備と活用について

皆 川 山梨県のシンボルの一つである国史跡甲府城跡については、私は、その本質的価値を守り、将来にわたって着実に継承していくため、歴史的・学術的価値を多くの人々に理解していただくとともに、その周辺を整備して観光拠点として活用し、地域の活性化につなげる必要があることを、これまでも、あらゆる機会を通じて、一貫して申し上げてきました。

  甲府城には、改めて申し上げるまでもなく、文化財的価値に加え、観光資源としても特筆すべき魅力があります。

  例えば、城郭の最頂部にある天守台からは、甲府盆地全体や富士山・南アルプスなど周辺の山々を見渡すことができ、すばらしい眺望を体感することができます。

  巨大な自然石を余り加工せずに積み上げた東日本最大級の穴太積みの石垣は、良好な状態で残っており、その美しさと迫力は、訪れる人々の心を引きつけています。

  また、甲府城の規模が、全国では6番目、関東では江戸城に次ぐ大きさであったことは余り知られていませんが、甲府市が復元した北の玄関口「山手門」は、中央線を挟んで駅の北口に位置しており、ここから天守台を望みますと、私たちは、江戸時代の城の大きさを容易に想像することができます。

  観光資源としてもすぐれたこの文化財を、今後どのように整備し、活用して、県都甲府の中心市街地の活性化につなげていくのか、県では今後、甲府城の具体的な整備の指針となる整備基本計画の中で、検討を進めていくものと承知しています。

  私は、甲府城の整備においては、次の取り組みが必要であると考えております。

  一つ目は、お堀の復元であります。現在の県民会館跡地は、芝生広場として県民の利用に供されていますが、内堀を復元、拡大して水辺空間を創出すれば、史跡の価値の顕在化に資するだけでなく、情緒あふれる城下町の風情が再現され、必ずや多くの人々が集い、憩える場所になるはずです。

  二つ目は、歴史的建造物の復元です。史跡の理解を深め、往時の歴史を体感することができる観光振興の柱となる取り組みであります。私は、天守閣の整備を目指していますが、まずは古写真等で存在が確認できている本丸櫓や数寄屋櫓などの復元・整備により、江戸時代の雄姿を現代によみがえらせることで、県内外からの観光誘客につながるものと確信しています。

  甲府城は、県都甲府の核となる文化観光資源の一つであり、この資源を最大限活用して、中心市街地ににぎわいを取り戻すことは、喫緊の課題であると考えます。

  そこで、県は、今後の整備において、このような取り組みを積極的に行うべきと考えますが、御所見をお伺いします。

 

知 事 甲府城跡は、本県の貴重な文化資源であるとともに、観光資源としても大きな可能性があることから、緑豊かで風格ある歴史景観と都市景観が調和した、にぎわいのある空間づくりが必要であると考えております。

  県民会館跡地のお堀の復元につきましては、甲府市と策定した甲府城周辺地域活性化実施計画に位置づけており、人が集い、憩える広場としての機能に配慮しながら、整備を行うこととしております。

  歴史的建造物の復元につきましては、文化財の価値を伝えるとともに、観光資源としての一層の活用を促す有効な手段であることから、今後も、精度の高い根拠資料の調査研究も踏まえながら、可能性を探ってまいります。

  また、こうした整備の指針を示す整備基本計画の策定に当たりましては、県内外から多くの方々に訪れていただけるような甲府城跡とするため、文化観光の振興の分野において、グローバルに活躍する民間有識者の御意見もいただくこととしております。

  いずれにいたしましても、甲府城跡につきましては、歴史的価値を十分に踏まえながらも、今日そして将来における県民に対し、より大きな価値を創出・提供していけるよう活用を図っていく観点から整備を進め、甲府市や地元商工団体など、さまざまな関係機関と連携・協働して、中心市街地のにぎわいの創出につなげてまいります。

 

皆 川 特に委員会等におきまして、甲府城の整備につきましては、今までの委員だけでなくて、幅広く民間からの人たちの意見もとり入れるというような回答を、非常に前向きな回答だなというふうに思っておりますが、しかし、歴史的建造物の復元なんかにつきましては、今までと違いまして、本丸櫓とか数寄屋櫓の古写真が出てきている状態なんですね。

  そういう段階なのに、いまだにその可能性を探るなんていうことを言っているようだと、全然前進がないなというように先生方はおっしゃいますので、ここは一つ、そろそろ具体的な検討段階だというふうに思っていただいて、現時点で今までの文化行政と違って、平成30年代には文化財保護法が改正されたり、また、最近4月に文化観光振興法が制定されたりしておりまして、今までの考え方とは全然違う考え方になっていると思います。

  それはやっぱりどういうことかというと、観光と、そういう歴史的な資源を結びつけようという考え方が主流になってきているんじゃないかなと思うんですね。

  菅総理大臣も、役所の縦割りとか既得権益とか、そしてあしき前例を打破するというようなことを言っておりますので、改革を進めるという流れの中から考えると、やっぱり従来の保存、維持という固定した考え方、その前例を打破していただいて、もっと積極的に観光行政を進める上でも、こういう歴史的資料というものを活用していただきたいというふうに思うわけであります。

  そこで、古写真が現存している今の数寄屋櫓とか本丸櫓につきまして、本当にその復元、整備に対してどういう気持ちでいるのか、もう一度再度御答弁をいただきたいと思います。特に委員会等におきまして、甲府城の整備につきましては、今までの委員だけでなくて、幅広く民間からの人たちの意見もとり入れるというような回答を、非常に前向きな回答だなというふうに思っておりますが、しかし、歴史的建造物の復元なんかにつきましては、今までと違いまして、本丸櫓とか数寄屋櫓の古写真が出てきている状態なんですね。
 そういう段階なのに、いまだにその可能性を探るなんていうことを言っているようだと、全然前進がないなというように先生方はおっしゃいますので、ここは一つ、そろそろ具体的な検討段階だというふうに思っていただいて、現時点で今までの文化行政と違って、平成三十年代には文化財保護法が改正されたり、また、最近四月に文化観光振興法が制定されたりしておりまして、今までの考え方とは全然違う考え方になっていると思います。
 それはやっぱりどういうことかというと、観光と、そういう歴史的な資源を結びつけようという考え方が主流になってきているんじゃないかなと思うんですね。
 菅総理大臣も、役所の縦割りとか既得権益とか、そしてあしき前例を打破するというようなことを言っておりますので、改革を進めるという流れの中から考えると、やっぱり従来の保存、維持という固定した考え方、その前例を打破していただいて、もっと積極的に観光行政を進める上でも、こういう歴史的資料というものを活用していただきたいというふうに思うわけであります。
 そこで、古写真が現存している今の数寄屋櫓とか本丸櫓につきまして、本当にその復元、整備に対してどういう気持ちでいるのか、もう一度再度御答弁をいただきたいと思います。

 

観光文化部長 甲府城跡における歴史的建造物の適切な復元は、歴史的価値や当時を体感することだけではなく、観光振興にも資する有効な手段でありますし、特に県都甲府市の中心地に位置することから、多くの方々に訪れていただくことで、中心市街地の活性化にも、大いに役立つものと考えております。

  一方、本丸櫓などは、写真等は確認されておりますが、謝恩碑建設に伴います進入路工事によりまして、櫓台の石垣や基礎が除去されていること、また、建物の意匠や形態を示す絵図が発見されていないので、現状では今すぐ復元というのは、なかなか難しい状況にあると考えております。

  しかし、最近、石川県の金沢城跡や静岡県の浜松城跡で、歴史的建造物の詳細がわかる絵図が相次いで発見されておりますので、本件でも復元に必要な根拠資料について、全国に情報提供を呼びかけ、調査を続けながら、復元の可能性というものを、しっかり検討してまいりたいと考えております。

 

皆 川 先日8月26日に、萩生田文部科学大臣のところに、甲府市選出の県議会議員5人と要望活動に行ってまいりましたけれども、その際、古写真が存在するなら、櫓の復元については、しっかりやりたいと、応援してやりますよという、萩生田文科大臣みずからそういうエールを送ってくれました。

  そういう中で、何かむしろ中央のほうが進んでいるんじゃないかと。山梨県の学術文化財課というか、非常に頭がかたくておくれているなという印象を持ちましたけれども、再度、その辺をもう少し答えていただきたい。

 

観光文化部長 本年4月に国の文化審議会で、史跡等における歴史的建造物の復元に関する基準の見直しを行った際に、幾つかの再現事例等、それからこういう事例がいい、こういう事例が悪いというようなお話をいただいております。

  その中で、意匠とか形態が全くわからないままに再現するのは、なかなか難しいというようなことを言われておりますので、今後しっかりそういう部分についての資料発見の可能性がまだまだあると考えておりますので、それをしっかり調査して、復元に向けて検討を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

 

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ぶどうの晩腐病の対策について

皆 川 本年の梅雨の時期における降水量は、甲府で642ミリと観測史上最多を記録したほか、特に7月の日照時間は平年の4割しかなく、梅雨明けも統計開始以来4番目に遅く、8月にずれ込みました。

  本県では、大規模な災害は発生しなかったものの、この記録的な梅雨は農業にも大きく影響し、特に桃やブドウなどの果樹の作柄が、この天候に大きく左右されております。

  7月が収穫最盛期の桃では、日照不足による果実の着色不良により、出荷量が減少し、水稲では、いもち病が発生したほか、本県農業の柱であるブドウでは、巨峰、ピオーネといった黒系の品種に晩腐病が多発し、収穫量が大きく減少した生産者もいました。

  こうした中、先月24日、甲府市選出の自民党県議会議員は、地元市議会議員とともに、県、市、JAに同行いただき、甲府市内のブドウ園において現地調査を行うとともに、関係者との意見交換を実施いたしました。

  生産者からは、「今までこれほど晩腐病が発生したことはなかった、発生してからは手の施しようもない」といった声が聞かれ、JAからは、出荷量が大きく減少したとの説明がありました。

  これを受け、今月2日には、県内一出荷が早い甲府ブランドのブドウの生産量を維持していくための「ぶどう晩腐病対策に関する要望書」を県に提出したところであります。

  例年にない梅雨の時期の降水量や日照不足が発生原因の一つと考えられますが、このように多発した原因を徹底して究明するとともに、それに基づく有効な対策を立て、実践していくことが、今後の生産安定に向けて極めて重要であります。

  地球温暖化の影響により、今後も本年のような気象となる可能性があることも想定され、本県のブドウの生産安定、また生産者の所得確保には、気象に応じた適切な栽培管理が重要と考えます。

  そこで、本年の晩腐病の発生を踏まえ、今後県としてどのような対策に取り組むのか、お伺いします。

 

知 事 ブドウの晩腐病につきましては、6月、7月の記録的な長雨の影響により、昨年まで発生が少なかった早場産地を初め、県下各地で発生を確認しており、現在、県では、その状況や薬剤防除、カサかけ・袋かけ等の管理につきまして、農務事務所がJAと連携して調査を実施しております。

  ブドウは標高や地域により生育差があり、感染時期にも差があることから、調査結果と気象状況等について、あらゆる面から分析・検討し、本年の発生要因を究明するとともに、来年に向け地域別に防除マニュアルを作成し、きめ細かな指導を実施してまいります。

  また、晩腐病は、ブドウの生育期の降雨によって感染をするため、将来の降水量が多い年に備えた恒久的な対策として、簡易雨よけ施設の導入について、国の補助事業等も活用し、積極的に推進してまいります。

  あわせて、今回のような病害虫の発生のみならず、農業者みずからが、自然災害や市場価格の下落等のリスクにも備えることができる収入保険への加入も、さらに進めてまいります。

  今後とも、JAや市町村と連携し、異常気象などのリスクに対応した防除対策の徹底や施設化の推進により、生産の安定を図り、全国一のブドウ産地の維持・発展に向け、鋭意取り組んでまいります。

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気候変動を踏まえた治水対策について

皆 川 国連気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書では、気候の温暖化は疑う余地がないこと、21世紀末までに、極端な降水が、より強く頻繁となる可能性が非常に高い地域があることなどが示されており、水災害の頻発化・激甚化への対応は待ったなしの状況にあります。

  近年、全国的には、平成27年関東・東北豪雨を初め、毎年のように甚大な水災害が起こっており、本年7月にも熊本県の球磨川が氾濫し、高齢者施設の入居者が逃げおくれて亡くなるという痛ましい被害も発生しました。

  球磨川は、本県を流れる富士川とともに「日本三大急流」の一つであり、人吉盆地の出口で水がたまりやすい状況は甲府盆地に類似し、また、甲府盆地を中心とした洪水浸水想定区域内には、本県人口の約30%が集中しているという報道もなされていることから、全く人ごとではありません。

  「善く国を治める者は、まず水を治める」という言葉がありますが、これは、いかに治水が大事かを強調したものであります。

  武田信玄公は、大氾濫を繰り返していた釜無川に、現在も立派に治水機能を発揮している信玄堤を築き、洪水の流れをコントロールして治世の根幹としたところです。

  これまでの治水対策につきましては、河川管理者を中心として、河川改修などのハード対策やダムによる洪水調節、さらには逃げおくれによる被害をなくすためのソフト対策などに取り組んできました。

  また、氾濫の危険性が特に高い区間における河道内の掘削や堤防強化対策、さらには河川情報の周知などのソフト対策について、平成30年度から防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策として鋭意進めております。これらは、非常に効果的な対策であることを承知しております。

  しかし、気候変動は、もはや気候危機といえる状況の中、こうした時代の災害に対応するためには、これまでの取り組みをさらに一歩進め、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生することを前提として、社会全体で被害を防止軽減させることが必要となってきていると考えております。

  そこで、県では、気侯変動を踏まえ、どのように治水対策に取り組んでいくのか、お伺いします。

 

県土整備部長 本県では、多くの急流河川が流れ込む甲府盆地を初め、各地で繰り返し水害に見舞われてきたことから、流域の安全・安心の確保を最重要課題の一つとして、治水対策を進めているところであります。

  一方、近年、洪水氾濫による甚大な被害が全国でたびたび発生し、気候変動による水災害リスクが増大していることから、河川管理者による対策のみならず、流域のあらゆる関係者が協働して、洪水から生命と財産を守る流域治水へ転換してまいります。

  流域治水は、中小河川において進めることも必要でありますが、まずは、県内人口の約八割が集中し、日本三大急流の一つである富士川水系から取り組むこととし、今月9日に、国や市町村とともに協議会を設置したところであります。

  協議会では、河川管理者による河道拡幅などの対策を整理するとともに、河川以外における対策メニューの洗い出しを行い、年度内にプロジェクトとして取りまとめ、来年度以降に具体的な検討を行う予定としております。

  また、県では、対策メニューを、より実効性のあるものにするため、雨水を一時的に貯留する施設の整備やリスクの低い地域への誘導など、さまざまな対策について、相模川水系や多摩川水系も含め、流域の特性を踏まえて技術的な課題や必要となる制度を検討してまいります。

  以上でございます。

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教員の働き方改革について

皆 川 現代社会は、情報通信技術の革新やグローバル化のさらなる進展など、激しく変化し続けています。こうした社会において、教育の果たす役割は極めて重要であります。

  そもそも教育は人格形成を目指すものであり、幅広い知識と教養、豊かな情操と道徳心、健やかな身体を養うこと、すなわち「知・徳・体」を総合的に兼ね備えた人材の育成を目指すものであります。

  私は、教育の担い手である教員の仕事は、子供たちの人格形成に大きな影響を与える非常にとうといものであり、教員は常にそのことを自覚し、教育に対する使命感と責任感を持って、子供たち一人一人に接しなければならないと考えます。

  しかしながら、学校の抱える課題は年々複雑化・多様化しており、教員は、授業、生徒指導、成績処理のほかにも、多岐にわたる事務的な業務などに日々追われています。

  文部科学省が平成30年に公表した勤務実態調査によれば、小学校では月約59時間、中学校では月約81時間の時間外勤務をしており、教員の長時間勤務の実態が明らかになっております。

  さらに、今般の新型コロナウイルスの感染拡大により、学校再開後は、子供たちの検温、ドアノブ等の消毒などの感染予防対策も担うなど、教員の負担は増しております。

  こうした状況において、子供たちの学びを充実するには、教員の勤務環境を整えることが重要であり、学校現場の業務効率化を推進し、教員が余裕を持って子供たちと向き合い、一人一人に、きめ細やかな質の高い教育を提供していくことが必要であると考えます。

  県教育委員会では、平成29年3月に教員の多忙化改善に向けた取り組み方針を策定し、継続的にさまざまな取り組みを進めてきていると承知しております。

  そこで、教員の多忙化改善に向けたこれまでの取り組み内容と成果についてお伺いします。

  また、教員の働き方改革のさらなる推進に向けて、県ではどのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いします。

 

 

教育長 教員の多忙化の改善は、県としても重要かつ喫緊の課題として捉えております。

  まず、今般の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、消毒作業等の負担増に対しましては、学校関係者の意見を聞きながら、スクールサポートスタッフの配置など、教員の負担軽減を図っているところです。

  これまで県では、教員の多忙化改善に総合的、計画的に取り組むため、教員の多忙化改善に向けた取り組み方針を初め、部活動のガイドラインあるいは教員の在校等時間の上限等に関する方針を策定しながら、学校における働き方改革を進めてまいりました。

  各学校では、取り組み方針に基づいた業務の改善や、「きずなの日」の設定による、子供と向き合う時間の確保などに取り組んでおります。

  この結果、昨年度は、例えば会議等の効率化では約97%、学校行事の見直しでは約90%の学校が「達成できた」または「ある程度は達成できた」と回答しており、一定の成果が得られております。

  また、各学校への統合型校務支援システムの導入を促進し、教員の事務負担の軽減や勤務時間の客観的な把握等に努めております。

  次に、今後の取り組みについてですが、現行の取り組み方針は本年度が最終年度となることから、現在、新たな方針の策定に向けて、勤務時間を意識した働き方や、部活動における指導体制などの観点から、検討を進めております。

  県としては、引き続き、教員の多忙化改善に積極的に取り組み、学校における働き方改革を進めてまいります。

 

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山梨県議会議員 皆川いわお

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