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■令和元年6月定例会 代表質問・答弁  令和元年6月17日

1.総合計画の基本理念について

2.総合球技場の整備について

3.県内の労働力確保に向けた外国人材の受け入れの促進について

4.県の自主財源の確保について

5.富士山ハザードマップの改定とその後の取り組みについて

6.医師や看護師の確保・育成について

7.子育て支援策の推進について

8.「山の日」記念全国大会の開催について

9.メディカル・デバイス・コリドー構想の推進について

10.県産農産物の輸出促進について

11.公共工事の執行について

12.甲府城の保存と活用について

13.屋内50メートルプールの整備について

質問項目

皆 川 私は、自民党誠心会を代表いたしまして、今定例県議会に提出されました案件並びに県政一般について質問をいたします。

 2月の晴天のもと、多くの職員の出迎えを受ける中、第62代山梨県知事として、長崎知事は初めて県庁に登庁されました。

 その後の4カ月、県民の皆様から負託された職責の重さをかみしめながら、「停滞から前進へ」をキャッチフレーズに、さまざまな課題にみずからの志を貫く気概を持って取り組もうとする知事の姿勢に深く感銘し、敬意を表するものであります。

 

 さて、先月はトランプ大統領が来日し、日米首脳会談が行われ、日米関係がより強固になるとともに、今月は大阪で日本が初の議長国となるG20サミットが開催されることになります。我が国が、世界経済の牽引や地球規模の課題への対応など、国際的リーダーシップを発揮することに期待をいたすものであります。

 本県においては、今こそ、希望に満ちた将来の山梨の発展に向けて、さまざまな施策に取り組む絶好の機会と考えます。

 進化論を唱えたダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」と言っています。

 長崎知事を先頭に、県庁職員が総力を結集し、積極的に行動するとともに、時代の変化にも柔軟に対応できるよう精進すべきと考えています。

 また、本議会は、本年4月の選挙により新たにスタートし、令和最初の県議会となります。これまでも、議会としての監視機能や政策立案機能の強化など、さまざまな改革に取り組んできたところであります。

 大柴議長におかれましては、これまでの議会改革の流れを受け継ぎ、さらなる議会改革に取り組むことを表明されました。私たち自民党誠心会も、議長の議会改革に対する熱意を受けとめ、ともに協力してまいる所存であります。

 私は、地方議会における二元代表制の原則に立ち、個々の政策課題に対する責務を全うするため、真摯な議論を展開してまいりたいと考えております。

 また、ふるさと山梨の県民生活の向上を目指し、長崎知事とともに、県政発展のため全力で取り組むことをお誓いし、以下、質問に入ります。

1

総合計画の基本理念について

皆 川 初めに、総合計画の基本理念についてお尋ねします。

 先月の地元紙に、就任3カ月となる知事の県外出張日数が、前知事の前年同期間に比べて3倍に達したという記事が掲載されました。

 財源が豊かでない本県において、激化する地域間競争に打ち勝ち、誰もが住んでみたいと思えるふるさと山梨をつくり上げるためには、国の財源や制度を最大限活用していくことが不可欠であり、私は、知事の積極的なアプローチを高く評価しているところであります。

 また、知事は、県庁職員に対して、県内外の民間企業や中央省庁、先進自治体などとの積極的な情報交換や、上下にかかわらない自由闊達な議論により、さまざまな知恵を行動につなげていくための職場づくり、さらには、前例がないものは最初の事例をつくるチャンスであるという意識改革などを促していると聞き及んでおります。

 こうした知事の姿勢には、昨日より今日は良くなったと実感し、今日より明日は良くなると確信できる山梨県をつくろうとする強い意志が感じられ、現在、策定が進められている県の新たな総合計画についても、大いに期待をしているところであります。

 そのような中、先般、山梨県総合計画の現時点における暫定的な計画が公表されました。今後は、この暫定計画を踏まえ、年内には最終的な計画を策定していくとのことですが、現在、我が国を取り巻く社会経済環境は、我々の予想を超えるスピードで変化しています。

 このため、計画の策定に当たっては、本県の枠にとらわれることなく、さまざまな視点から、より広く意見を求める必要があると考えますが、県の御所見を伺います。

 また、暫定計画には、計画の基本理念として、本県の目指すべき姿が記載されていますが、これまでの計画と比べて、県民がイメージしやすく、わかりやすいものになっていると、私は強く感じたところであります。

 そこで、県は、どのような考え方に基づいて、目指すべき本県の姿を「県民一人ひとりが豊かさを実感できる山梨」としたのか、御所見をお伺いします。

 

知 事 ただいまは自民党誠心会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。

 また、私の県政運営に対する取り組み姿勢への御評価とともに、ダーウィンの言葉を引用され、時代の変化に柔軟に対応することの重要性に触れながら、ふるさと山梨の県民生活の向上を目指し、私とともに全力で取り組んでいただけるとのお言葉を賜り、心から感謝を申し上げます。

 さらに、地方議会における二元代表制の原則のもと、個々の政策課題に対する責務を全うするため、真摯な議論を展開していくというお考えを示されました。

私も、昨日より今日は良くなったと「実感」し、今日より明日は良くなると「確信」できる山梨の実現に向け、時代の変化を捉えた県政運営に全力で取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。

 初めに、総合計画の基本理念についてであります。

 計画の策定におきましては、急速に変化する社会経済情勢に対応するため、多岐にわたる分野の方々の知見を集め、多角的に検討を進めることが不可欠であると考えております。

  このため、県議会における御議論を踏まえるとともに、今後開催する総合計画審議会においては、現在の委員に加え、議員御指摘のとおり、国内外で活躍する各界の有識者や、地域で活躍するさまざまな立場の方々に御出席いただき、幅広く御意見、御提言をいただくこととしております。

 また、計画の基本理念となる目指すべき本県の姿を描くに当たっては、現状を分析し、時代の潮流を見据えながら、将来の県民生活の姿をイメージすることが、最も重要であると考えたところであります。

  現在、本県では、リニア中央新幹線など、県民の生活に豊かさをもたらす国家プロジェクトが進行しており、また、情報通信技術の急速な進歩により、産業構造や社会構造が大きく変わろうとしております。

 このため、これらのチャンスを生かし、変化に的確に対応しながら、本県が持つ価値をさらに高めていくことが、新しい可能性を引き出し、県民の皆様お一人お一人の生活の向上につながると考えております。

 そこで、本県全体の高付加価値化によって目指すべき将来の姿を「県民一人ひとりが豊かさを実感できる山梨」としたところであります。

この理念のもと、県民の皆様にとって、山梨の地こそ、最も輝き、幸せになれる場所であり、一人一人が抱く夢や希望を実現できる県、もっと豊かさと幸せを実感できる県となるよう、全力で県政を前に進めてまいります。

 

2

総合球技場の整備について

皆 川 次に、総合球技場の整備についてお尋ねします。

 総合球技場については、本年3月に、総合球技場基本計画検討委員会から報告書の提出を受け、県では、県内各地域において説明会を開催するとともに、県のホームページでも意見募集を行ったと承知しています。

 私の周辺からは、総合球技場は山梨の活性化につながる施設であり、次世代を担う子供たちのためにも早期に整備してほしいとの声が多くある一方で、年間5千万円から8千万円の財政負担は大きな問題で、もっと有意義な税金の使い道があるのではないかとの意見も聞いております。

 私は、スポーツは県民に夢や感動を与え、地域の活力を高めることができるものであり、総合球技場は、するスポーツ、見るスポーツを充実するだけにとどまらず、県民の山梨に対する誇りや愛情を深め、若者の定住や本県経済の活性化にもつながる施設でなければならないと考えております。

 そのためには、スポーツ施設としてだけではなく、日常的に多くの県民に利用されるよう、さまざまなイベントで利用したり、附帯施設を充実させ、ビジネスや健康づくり、福祉、教育など、多様な用途での利用が進むように運営方法を工夫することで、県民誰もが愛着の持てる球技場とすることが必要ではないかと考えます。

 また、課題となっている事業費については、本県の財政状況に鑑み、報告書にある収容人数2万人に必ずしもこだわることなく、規模の縮小を含め、さまざまな工夫をしながらコスト削減を図り、本県にふさわしい施設とすることが望ましく、さらに、建設予定地としている小瀬スポーツ公園周辺は、現状でも大規模な大会やイベント開催時などには道路が渋滞し、近隣住民に少なからぬ負担をかけている状況を考慮すれば、渋滞対策や新たな駐車場整備などにもしっかりと取り組む必要があるのではないでしょうか。

 今後、財政負担の軽減に向け、建設費とともに、その後のランニングコストの再検討を行った上で、県民みんなから親しまれる総合球技場として整備することが望ましいと考えますが、知事の御所見をお伺いします。

 次に、県内の労働力確保に向けた外国人材の受け入れの促進についてお尋ねします。

 本年4月の県内の有効求人倍率は1.42倍と依然として高い水準であり、県内企業における人手不足は深刻な状況であります。

 

知 事 総合球技場につきましては、去る3月に基本計画検討委員会から報告書の提出を受け、4月には県内六カ所で説明会を開催し、あわせて県ホームページにおいても、県民の皆様から広く意見を伺ったところであります。

 いただいた御意見では、総合球技場は、山梨に夢と希望、活力を与えてくれる施設であり、早く建設を進めるべきという意見が多数を占める一方で、建設費やランニングコストの財政負担に見合うだけの価値がある施設となるのかという懸念も示されました。

 皆川議員が御指摘されたとおり、総合球技場を県民から親しまれる施設とするためには、このような県民の皆様の声を真摯に受けとめ、財政負担や機能面に加え、周辺住民への配慮など、慎重に検討することが必要であると考えております。

 こうしたことから、財政負担につきましては、施設規模の見直しも視野に入れながら、建設費やランニングコスト、活用可能な財源について精査していくこととしております。

 また、機能面につきましても、収容能力を生かした災害時における有効利用とともに、日常的に多くの県民の皆様に利用していただけるよう、さまざまな観点から可能性を探ってまいります。

これらの視点を踏まえながら、総合球技場を、将来にわたって継続的な価値をつくり出すとともに、県民の皆様にとって魅力ある施設とすることができるかどうかについて、さらなる検討を進めてまいります。

3

県内の労働力確保に向けた外国人材の受け入れの促進について

皆 川 また、国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年に49万人だった本県の生産年齢人口は、2045年には28万人と、約4割減少すると推計されており、労働力の確保は一層困難になることが予想されます。

 このような中、労働力確保の切り札として注目されているのが、外国人材です。

 本年4月から新たな在留資格「特定技能」の制度がスタートしたところであり、国では今後5年間で最大34.5万人の受け入れを見込んでいます。

 本県においても、人手不足への有効な対応策となる外国人材の活用に向け、本腰を入れて動き出す時期に来ており、県として、企業や外国人のニーズを踏まえ、効果的な支援を行っていくべきであると考えます。

 実際に、県内の中小企業では、外国人を雇用したいという希望があっても、「外国人を雇用した経験がない」「採用活動のための人手や時間に余裕がなく、煩雑な手続に対応できない」といった理由でちゅうちょしている例が多いと聞いています。

 こうした声に応え、外国人材の採用に意欲のある企業を県がしっかりとサポートする体制の構築が早期に必要であると考えます。

 また、県内企業の受け入れ体制が整っても、賃金が高い東京などの大都市に外国人が集中することも懸念されます。裏を返せば、日本に入ってくる外国人材がふえたからといって、県内で潤沢に外国人を確保できる保証はどこにもありません。

 外国人にとって住みよい環境を整備し、魅力を高めていくことも重要だと考えます。

 こうしたことを踏まえ、県では、外国人材の受け入れ促進に向けて、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

知 事 県内企業の人手不足が深刻化する中で、新たな在留資格制度のスタートにより、増加が見込まれる外国人材の活躍は一層重要性を増すことから、県として、外国人材の受け入れ促進に先手を打って取り組む必要があると考えております。

 そこで、外国人材の採用に意欲のある企業を支援するため、9月を目途に、新たに企業向けの相談窓口を設置し、人手や時間に余裕のない中小企業であっても、一元的に情報を入手し、個々の事情に応じた相談ができる体制を整備いたします。

 加えて、県内での関心が高い宿泊及び介護の二分野においては、事業者向けのセミナー、外国人向けの集合研修を開催し、業種ごとのニーズを踏まえた支援にいち早く取り組んでまいります。

また、外国人材の獲得に向けた地域間競争の中で、外国人に選ばれる県となるためには、外国人が安心して働き、暮らせる環境づくりにも力を入れる必要があると考えております。八月には、多言語で外国人の生活全般の相談に応じる「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を開設するとともに、医療や教育など生活サービスの向上にも取り組んでまいります。

 さらなる施策の推進に向け、7月を目途に官民の関係機関で構成するネットワーク会議を立ち上げることとしておりまして、企業側、外国人側双方のニーズを丁寧に把握することで、支援の強化を図ってまいります。

 

4

県の自主財源の確保について

皆 川 次に、県の自主財源の確保についてお尋ねします。

 本県の令和元年度当初予算の歳入総額に占める県税収入の割合は21.6%と低く、平成29年度決算における自主財源比率は43.3%で全国29位となっており、歳入の多くを地方交付税や県債などの依存財源に頼らざるを得ない厳しい状況にあります。

 自主財源が乏しく、大変厳しい財政状況にある中で、今後、本県が魅力ある地域づくりを推進していくためには、新たな税源を創設し、財政の安定・強化を図ることが必要不可欠であります。

 こうしたことから、県議会では、昨年、ミネラルウォーター税導入に関する政策提言案作成委員会を設置し、私が委員長となり、法定外税について検討を重ね、去る3月に賛成多数により「地下水に着目した法定外税導入に関する政策提言」を取りまとめ提出したところであります。

 提言では、本県での事業活動により、地下水が多く採取され、利益が生じている状況にあるため、地下水の利用に対しての課税を検討すべきとしたところであります。

 例えば、本県のミネラルウォーターの生産量は、都道府県別のトップで、全国シェアの約44%を占めています。

 ミネラルウォーター業界は、本県固有の地下水の利用で利益が生じている状況にあります。

 議会としても慎重に検討を重ねた上で提言したわけですので、知事にはしっかりと提言を受けとめ、早期に法定外税導入を決断してもらいたいと思います。

 そこで、地下水に着目した法定外税の導入に関しての御所見を改めてお伺いします。

 

知 事 皆川議員には、ミネラルウォーター税導入に関する政策提言案作成委員会の委員長として、提言の取りまとめに御尽力をいただきましたことに対しまして、心から敬意を表します。

 本県の財政状況は厳しく、自主財源が十分ではない中で、各種の施策を推進していくためには、山梨ならではの独自財源の研究を行っていくことが必要であります。

 今般いただきました御提言を踏まえ、新税の導入について、専門家による検討会を早急に設置し、今後、新税導入の課題や県内企業や経済等への影響なども含め、法定外税について、しっかりと検討をしてまいります。

 

皆 川 おおむね納得のできる答弁をいただきましたが、一つだけ再質問をさせていただきます。

 県の自主財源の確保について、山梨ならではの独自財源の研究をしていく必要があるということで、専門家による検討会を早急に設置した法定外税について検討するという答弁をいただきましたが、数年前に専門家による検討会というものを設置したときも、複数人のミネラルウォーター業者、ミネラルウォーター企業の関係者がその委員になっているという経緯がありました。

 このような利害関係のある委員を選んでいたのでは、公正な結論を得られないのではないかと思いますが、今回の検討会の委員を選ぶ基準は、どういう基準で選ぶのかを教えていただきたいと思います。

 

総務部長 地下水に着目した法定外税の検討のための検討委員会を立ち上げるため、現在委員の構成案を検討しているところでございますが、この事柄につきましては、法制面という専門的な検討、あるいは県内経済への影響という具体的な検討が必要になってくるものと考えております。そのため、検討委員会の委員につきましては、例えば租税法や財政学などに関する有識者、あるいは県の経済団体の代表などを主な構成員として念頭に置いて、現在調整を進めているところでございます。

 委員の選定に当たりましては、皆川議員からの御意見も踏まえながら、引き続き調整を進めてまいりたいと考えております。

 

知 事 一般的にいいますと、大体こういう委員会や検討会というのは、主に行政の、悪い言葉で言えば行政の隠れみのに使われるといいますか、行政の正当性を裏づけるような、そんな意味で利用されることが多いので、非常にこういう委員会なり審議会なりをやるときの選び方、委員の選び方というのは慎重を期していただきたいと思います。今の答弁で十分そういうことが伝わっているという感じがしましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 

5

富士山ハザードマップの改定とその後の取り組みについて

皆 川 次に、富士山ハザードマップの改定とその後の取り組みについてお尋ねします。

 我が国は、111もの活火山が存在する世界有数の火山国であり、近年、火山活動が活発化し、草津白根山や霧島連山の新燃岳、口永良部島などにおいて噴火が頻発しております。

 一方、富士山については、1707年に起きた宝永噴火以降300年以上もの長い間、噴火していませんが、いつ噴火してもおかしくないといわれており、一たび噴火した場合には、広範囲に甚大な被害をもたらす可能性があります。

 本年3月、富士山ハザードマップの改定作業を進めている山梨県や静岡県、神奈川県などで構成される富士山火山防災対策協議会から、山梨県側と静岡県側にある新たな噴火口を追加し、想定火口範囲を拡大するとの中間報告がなされたところであります。

 新たな噴火口の中でも、特に雁ノ穴火口は、富士吉田市の市街地に近く、東富士五湖道路手前まで火口範囲となることから、富士北麓地域の住民や観光客に大きな影響が及ぶことが懸念されております。

 ハザードマップは、富士山噴火に限らず、地震、風水害などの自然災害による被害やその範囲を予測し、それをもとに、さまざまな防災対策を講じ、災害による被害を最小限に抑えるために作成するものであります。

 現在のものは、平成16年に作成され、既に15年が経過しておりますので、新たな知見や最新の技術を反映させることは、今後の防災対策を講じるために大変意義のあるものであると考えています。

 そこで、県としては、今後、ハザードマップの改定にどのように取り組んでいくのか、また、改定後には、地域住民を初め、観光客や登山者などの安全・安心のためにどのように対応していくのか、お伺いします。

 

知 事 富士山ハザードマップは、火山防災対策を実施する上で最も重要な資料であることから、活火山法に基づき設置されている富士山火山防災対策協議会において、国や火山専門家等とともに、鋭意改定作業に取り組んでおります。

 今回の改定では、新たに追加された雁ノ穴などの火口から噴出する溶岩流などについて、どの程度の量がどのくらいの速さで影響を及ぼすのかを、最新の地形データや計算プログラムなどの新たな科学的知見や技術により明らかにすることとしております。

 また、改定後には、地域住民や観光客の皆様が理解しやすいように、わかりやすく、かつ丁寧な広報を行うとともに、現行の広域避難計画を見直し、それに基づき、円滑かつ迅速に避難できるよう、地元市町村や防災関係機関等と一体となり、避難訓練を実施してまいります。

 さらに、避難路や溶岩流などから避難時間を確保するための施設整備など、膨大なハード事業の実施も必要となることから、国と県の役割分担を明確にし、活火山を有する他県等とも連携し、火山対策に関する立法措置を国に強く働きかけ、地域住民や観光客等の安全・安心の一層の確保に努めてまいります。

次に、医師や看護師の確保・育成についてであります。

6

医師や看護師の確保・育成について

皆 川 次に、医師や看護師の確保・育成についてお尋ねします。

 本県の医療施設に従事する医師数は、山梨大学の地域枠制度や県の医師修学資金制度が始まる前の平成18年に比べ、直近の平成28年までの10年間で229人が増加しており、人口10万人当たりの医師数を見ても231.8人となり、全国平均との差も、13.7人から8.3人にまで縮まってきました。

 これまでの取り組みにより、着実に成果があらわれてきてはいますが、一方で、医師の数はいまだ全国平均を下回っており、また、医師が中北地域に集中するなど地域間の偏在が拡大するとともに、外科などの特定の診療科における医師不足が深刻な状況にあります。

 医師の多くは大学の医局制度の中で育成されていくため、こうした地域偏在や診療科偏在を是正するためには、養成機関である山梨大学と連携をとり、協力しながら施策に取り組んでいくことが必要であります。

 同時に、医師は、その育成に10年以上の期間を要し、医師確保や偏在是正の成果があらわれるまでに時間がかかることから、この間も、地域において滞りなく医療を提供するための取り組みを並行して行っていくことが必要と考えます。

 県は、本年度中に医師確保計画を策定することとしておりますが、今後、医師の確保、偏在の是正をどのように図っていくのか、あわせて、医師の育成が図られるまでの間、地域の医療提供体制をどのように確保していくのか、お伺いします。

 また、看護師については、平成28年12月末時点の調査によると、人口10万人当たりの看護師数は934.5人であり、全国平均の905.5人を、数字的には上回っております。

 しかし、地域の医療機関の声を聞きますと、過酷な勤務環境などから離職率の高さが課題となっており、医療現場における人員の不足感は著しいものとなっております。

 さらに、医療の高度化・専門化に伴い、看護師の質の向上に努めていくことも極めて重要であると考えます。

 県では、今年度、看護職員需給計画を策定することとしておりますが、こうした状況を踏まえ、看護師の確保や資質向上をどのように図っていくのか、知事の御所見をお伺いします。

 

知 事 まず、医師につきましては、県ではこれまで、医師修学資金の貸与などを通じ、医師確保を図りながら、地域の病院と中核病院とをローテーションで勤務する専門研修プログラムの運営や、特定診療科の専門研修医への研修資金貸与など、地域偏在・診療科偏在の是正に取り組んできており、今回の補正予算でも、新たに外科医の確保に向けた研修施設の整備に対し、支援することとしております。

 本年度策定する医師確保計画には、こうした施策や、知事が勤務先を指定できる平成27年度以降の医師修学資金貸与者の医師不足地域への配置などを位置づけ、医師の確保と偏在の是正を一層進めてまいります。

 また、医師の育成には時間がかかることから、これまで、自治医科大学卒業医師の僻地医療機関への配置や、山梨大学が行う地域の病院への医師派遣に対する助成などを行い、地域医療を支援してまいりました。

 今後は、こうした取り組みに加え、県立病院機構が地域に積極的に医師派遣を行うよう、次期中期目標に盛り込むことを検討するとともに、今回の補正予算に新たに計上した、遠隔医療による基幹病院からの診療支援への助成などを通じて、支援を強化してまいります。

 次に、看護師については、今回策定する看護職員需給計画は、地域医療構想において在宅医療への移行が進み、必要看護師数が減少した将来の医療需要をベースに策定することとされておりますが、現時点でも依然として、地域の医療機関からは、看護師の確保は困難であるとの声を多く伺っております。

 このため、計画策定に当たっては、医療現場における実情を十分にお聞きし、離職率の高さを踏まえた勤務環境改善や復職支援、認定看護師の養成など医療の高度化・専門化に対応した資質向上対策など、現場のニーズに沿った施策を位置づけてまいります。

7

子育て支援策の推進について

皆 川 次に、子育て支援策の推進についてであります。

 知事は、本年4月の組織再編で、それまで福祉保健部や県民生活部にあった7つの課室にまたがる結婚、妊娠、出産、子育てに関する業務を一元化し、子育て支援局を新設しました。

 就任直後の子育て支援局の新設に、子育て支援にかける知事の意気込みを感じ、大変頼もしく思っております。

 県はこれまでも、全市町村と連携して、産前産後ケアセンターや病児・病後児保育施設の県内全域での広域利用の推進、第2子以降の3歳未満児の保育料の無料化など、全国に先駆けた取り組みを行ってきており、子育て世代の親御さんからも高い評価をいただいております。

 しかし、総務省がまとめた平成30年10月1日現在の人口推計によると、山梨県の14歳以下の子供の人数は9万7千人で、昨年より2千人減っており、人口に占める子供の割合も11.9%と昨年に比べて0.1ポイント低下し、少子化に歯どめがかからない深刻な状況となっております。

 こうした中、今国会では、幼児教育の無償化を実施するための子ども・子育て支援法改正案が成立し、子供の権利擁護や児童相談所の体制強化などを図るための児童虐待防止法と児童福祉法改正案も成立見込みであり、国においても少子化対策や教育機会の均等、痛ましい子供の虐待の防止に対応するため、対策を進めていると聞いております。

 私は、山梨の豊かな自然の中で、多くの子供が生まれ、健やかに成長し、その子らがやがては山梨のよりよい未来をつくり上げてくれることを願っているところであります。

 そのためには、未婚化や晩婚化が進む中、県においても、結婚を後押しする対策を積極的に行うとともに、多様化するニーズに応じて市町村や関係機関と連携を強化し、子供や子育て世代に対する支援をさらに推進していくことが重要であります。

 そこで、知事は今後、子育て支援策をどのように推進していく考えなのか、御所見をお伺いします。

 

知 事 本年4月、結婚から妊娠、出産、子育てまで、切れ目のない支援を効果的に進めるため、新たに子育て支援局を創設したところですが、山梨の将来を担う子供たちの育成や、子育て環境の整備は大変重要であることから、まずは、二つの大きな柱を立てて、取り組みの強化を図っていきたいと考えております。

 一つ目は、子供の健全な成長であり、人生の極めて初期の段階で自然に触れながら育つことは、その後の成長の土台を築く上で非常に重要であるといわれております。このため、本県の豊かな自然を子育て資源として活用する自然保育の導入を推進することとし、六月補正予算に所要の経費を計上したところであります。

 また、教育の充実は最大の子育て支援であると考えます。一人一人の子供にじっくりと向き合う時間を確保し、きめ細かな質の高い教育を実現するよう、公立小中学校における25人を基本とする少人数教育の導入に向けて、来月、有識者等から成る委員会を立ち上げ、鋭意検討してまいりたいと考えております。

 二つ目は、子育てしながら働ける環境の整備であり、県ではこれまでも、病児・病後児保育の広域利用など、子育て環境の整備に取り組んでまいりましたが、仕事と子育てを両立する家庭が増加する中で、子育てに合わせた働く環境の整備が重要であることから、支援策の検討を進めていきたいと考えております。

 本年度、第二期子ども・子育て支援プランを策定することとしておりますので、これらの取り組みや、結婚、妊娠、出産を希望する方への支援など、多様化するニーズに対応した施策を位置づけるとともに、今後、県や市町村、経済団体、NPO等による推進体制を構築し、子育てしやすさ日本一の実現を、県を挙げて推進してまいります。

8

「山の日」記念全国大会の開催について

皆 川 次に、「山の日」記念全国大会の開催についてお尋ねします。

 本県は、世界文化遺産の富士山を初め、全国で第2位の高峰である北岳、第3位の間ノ岳などがそびえる南アルプスや八ヶ岳、過日ユネスコの諮問機関が登録を勧告した甲武信ユネスコエコパークに含まれる奥秩父連峰など、多くの名峰を擁する日本を代表する山岳県であります。

 また、本県は県土の約八割を森林が占める全国有数の森林県であり、木材生産や水源涵養、地球温暖化の防止などの多面的機能を持つ森林が、私たちの暮らしを守り支えています。

 さらに、本県の森林がもたらす豊かで良質な水は、全国観光地百選、渓谷の部第1位である昇仙峡などの景勝地のほか、ミネラルウォーターを初め、ブドウや桃、日本酒などさまざまな産品を生み出し、本県の誇るべき魅力となっています。

 こうした美しい山や森林の恩恵に感謝することを目的に、「山の日」記念全国大会が、本年、開府五百年を迎えた甲府市において、8月11日に開催されることとなっています。

 この大会のテーマは、「山に親しみ、山に学び、山と生きる~持続可能な未来へ~」でありますが、本県では、このコンセプトのもと、平成9年から20年以上にわたってさまざまな活動を積み重ねてきており、こうした経験と強みを生かして、県と市町村、民間団体が一体となった特色ある大会を目指すべきと考えます。

 特に、県民の皆様には、この美しい山や森林を次の世代に引き継いでいくことへの理解を一層深めていただくとともに、全国からお集まりの皆様に、本県が誇る山や森林はもちろん、それらを源とする名水が育む県産品なども積極的にアピールし、山梨ファンを全国に広げるような情報発信をすることが重要です。

 こうした観点を踏まえ、開催まで2カ月となった中で、本県で開催される全国大会を具体的にどのような大会にしていくのか、お伺いします。

 

林務長 本県は、全国有数の山岳・森林県であり、その魅力を県内外に発信する上で、「山の日」記念全国大会は絶好の機会であります。

 このため、甲府市総合市民会館で開催する記念式典では、県有林におけるFSC森林管理認証の取得や、森づくりコミッションによる企業・団体の森づくりなどの先進的な取り組みに加え、山梨の名水が育む特産品の数々を紹介するなど、本県の特色を全国にアピールしてまいります。

 また、会場におきまして、海外の姉妹友好地域から寄せられたビデオメッセージを紹介するほか、本県に移住した山岳ライターや紀行作家、登山の愛好家としても知られる女優を招いて、山梨の山の魅力などを存分に語っていただくトークショーを開催するなど、これまでの大会にない多彩なプログラムにより、大会を盛り上げてまいります。

 さらに、県内外の多くの皆様に本県の山や森林、自然の魅力をPRするため、歓迎フェスティバルを、小江戸甲府の夏祭りと同時開催するほか、県内全ての市町村で、年間を通して136の関連イベントを実施するなど、県を挙げて取り組んでまいります。

 こうしたさまざまな催しを通じて、山梨のファンを全国に広げるとともに、多くの皆様に山の日への理解を深めていただき、豊かで美しい山や森林を次の世代に引き継ぐ大会としてまいります。

 

9

メディカル・デバイス・コリドー構想の推進について

皆 川 次に、メディカル・デバイス・コリドー構想の推進についてお尋ねします。

 メディカル・デバイス・コリドーとは、私なりにわかりやすく言えば、本県の医療機器産業を大きく進展させた姿のことであると思います。長崎知事は公約において、本県の機械電子産業の医療機器分野への一層の進出を目指し、「甲府盆地から中央道、東富士五湖道路、新東名高速道路を経由して静岡県東部の医療産業集積地ファルマバレーに至る一帯に、医療機器産業を集積するメディカル・デバイス・コリドー構想」を掲げられました。

 医療機器関連産業は、世界的あるいは国内的にも需要が安定的に拡大し、景気変動に左右されにくい上、大きな成長が期待できる産業分野であります。

 この医療機器分野は、本県のものづくり企業がこれまで磨き上げてきた、ハイレベルな技術を十分に活用することができるため、本県の産業振興にとって、うってつけの大きな可能性を秘めた分野であります。

 さらに、本県には、医学部と工学部を持つ山梨大学があることなどから、元来、医療機器産業に関して、必要となる要素や潜在能力がかなり備わっていたものと思われます。

 これまでも、本県では、産学官連携や企業の皆さんの御努力によって、医療機器産業への参入が進められてきたと承知しておりますが、現時点で、本県経済を牽引する主力産業になっているとまではいえない状況であります。

 長崎知事は、「停滞している山梨を思いっきり変革したい。そして山梨をもっと豊かにしたい」という考えを力強く、明確に示されております。

 私は、この医療機器産業に関しても、その考えにのっとり、停滞感を打破する強力な取り組みが求められていると考えます。

 この点、知事は、本県の強みに加えて、医療機器分野で全国最大の生産額を誇る静岡県と本県との地理的関係に着眼し、「メディカル・デバイス・コリドー構想」を着想されており、本県産業振興の重要政策として、この構想が進展することを大いに期待するものであります。

 そこで、今後、この「メディカル・デバイス・コリドー構想」を、どのように推進していくのか、御所見をお伺いします。

 

知 事 医療機器産業は、国内の市場規模が約3兆円と大きく、高齢化などによる新たなニーズの高まりも期待できる有力な産業分野であり、また、本県のものづくり企業が培ってきた高度な技術が活用できることから、基幹産業である機械電子産業に続く、新たな主力産業として育成し、県内経済を活性化させてまいりたいと考えております。

 本県の平成29年における医療機器生産金額は、約550億円で全国十位ですが、さらなる企業の参入促進や関係機関との連携強化を図る中で、産業としての集積を一層図り、相互の競争や協力を通じて、新たな付加価値を創出する産業として、加速的に成長、発展させることが必要であると考えております。

 このため、本県が医療機器関連産業の集積地として持続的に発展することを目指す、メディカル・デバイス・コリドー構想を具体化していく計画を策定することとし、補正予算におきまして、所要の経費を計上したところであります。

 計画策定におきましては、まず、医療機器関連産業のトレンドや将来を予測するとともに、県内機械電子産業における各企業の動向などを詳細に調査・分析し、本県の企業の技術力が十分発揮でき、計画推進の柱となる分野などを検討してまいります。

 さらに、有識者から専門的な意見をいただくほか、先進的な取り組みを進める静岡県との連携も検討することとしており、新たな視点を持ち、競争力の強化を意識した計画を策定し、本県の医療機器関連産業の進展に向けた取り組みを強力に進めてまいります。

 

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県産農産物の輸出促進について

皆 川 次に、県産農産物の輸出促進についてお尋ねします。

 本県は、全国でトップクラスの長い日照時間や昼夜の寒暖の差など、農業に適した自然環境に恵まれていることに加え、農家の方々の高い技術やたゆまぬ御努力により、各地で特色ある実り豊かな農業が営まれております。

 中でも主力の果樹については、日本を代表する果樹産地が形成されているところであり、ブドウ、桃、スモモの生産量は日本一であります

 こうした中、シャインマスカットの人気の高まりや、糖度の高い高品質な桃が好評だったことから、本県の農業生産額は、平成29年には、17年ぶりに1千億円超えをなし遂げました。

 しかしながら、近年、国内市場においては、人口の減少や消費者ニーズの多様化などにより、果実などの消費量は停滞していることから、産地間競争が激化しているところであります。

 今後とも農業生産額の増加を図り、生産者の所得向上を実現していくためには、さらなる高品質化などを進め、国内市場におけるブランド力の向上を図っていくことはもちろんのことですが、輸出を促進していく必要があるものと考えます。

 本県産の果実の輸出については、香港・台湾を中心としたアジア地域におけるプロモーション活動の効果などもあり、平成29年度は約7億円、平成30年度は約9億円と順調に増加しております。

 ただし、近年、海外市場においては、日本の主要産地からブドウや桃などの輸出が拡大しているとともに、世界中の産地からさまざまな果実が安価で入っているものと承知しております。

 まさに世界中の生産国が競争相手となっており、好調な県産果実といえども決して楽観視できる状況にはないといえるのではないでしょうか。

 今後とも輸出量、輸出額ともにふやしていくためには、海外の市場で積極的に本県産の果実を選んでもらえるよう、やまなしブランドの一層の確立を図るとともに、現在はブドウなどの輸出が解禁されていない中国を含め、新たな輸出先国を開拓するなど、積極的な施策の推進が必要であります。

 長崎知事は選挙公約の中で、県産品の本格的な輸出拡大を訴えておられましたが、県産果実を中心とした農産物の輸出を促進するため、今後、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

知 事 農家の所得向上を図る上で、輸出の促進は極めて重要な取り組みです。海外市場において激しい競争を勝ち抜いていくためには、やまなしブランドの一層の確立と、新たな輸出先国の開拓が必要であることは、皆川議員御指摘のとおりであります。

 まず、やまなしブランドの一層の確立につきましては、農産物の高品質化などを推進するとともに、輸出実績のある国や地域において、県果実輸出促進協議会等と連携し、プロモーション活動を強力に実施することに加え、SNSなどを効果的に活用し、多くの消費者に向けて情報発信を行ってまいります。

 また、新たな輸出先国の開拓につきましては、巨大な市場が見込める中国への輸出解禁に向けて、本年2月に日本ブドウ産地協議会と連携して国へ要望したところであり、今後も強力に働きかけていくとともに、解禁後を見据え、マーケティング調査や国際展示会への出展などを実施いたします。

 加えて、イスラム諸国への波及が大きいアラブ首長国連邦への輸出に向けて、現地の高級レストランへ試験的にブドウを提供し、富裕層をターゲットにした将来の輸出につなげてまいります。

また、さらなる輸出の促進に向けて、JAや県に加え、輸出業者等にも参画を求める中で、これまでの取り組みを検証し、課題や対策を協議する場を設け、新たな体制を検討してまいります。

 今後は、輸出に意欲のある関係者と一層緊密に連携することにより、これまで以上に戦略的、効果的な施策を積極的に展開してまいります。

 

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公共工事の執行について

皆 川 次に、公共工事の執行についてお尋ねします。

 本年度、国から本県へ内示された公共事業予算は、約689億円、前年度比で約24%を超える大幅増額となり、これにより、県内の社会基盤の整備がより一層進み、事業の効果発現が早期に図られるものと期待しているところであります。

 公共工事を受注する建設業においても、こうした予算の増額は大変喜ばしいことであります。

 一方で、長期にわたる建設不況の影響により、他の業界より高齢化が急速に進み、また、生産年齢人口の減少や若者の建設業離れの影響もあり、工事の受注に不可欠な現場技術者となる人材が不足していることから、建設業者は入札参加を諦めざるを得ない場合もあり、時には入札参加者が足りず工事の入札が成立しない不調となるケースが発生していると聞いております。

 また、公共工事の執行は単年度予算が原則であることから、年度末に工事が集中するのに対し、年度初めは工事の発注量が減るなど、一年を通して工事の量に偏りがあることが、企業経営の見通しが立たない要因の一つとなっています。

 こうした中、建設業者は、働き方改革に取り組みながら、人材の確保、企業経営の健全化のために絶えず努力を重ねているところでありますが、将来的な展望が見えず、依然として厳しい状況が続いており、事態は深刻化しております。

 地域の建設業は、社会インフラの整備や維持管理の担い手として地域の社会・経済を支えると同時に、災害が発生した場合には、真っ先に被災した現場に急行し、危険を顧みず応急対応に当たるなど、地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として、なくてはならない存在であり、東日本大震災以降、現在に至るまで、改めてその重要性を認識しているところであります。

 私は、こうした地域の建設業者が、人口減少や高齢化が進む中にあっても持続的に活動していけるよう、維持、育成する必要があり、そのためには、限りある人材を有効に活用できるよう、公共工事を継続的に執行していくことが重要であると考えております。

 そこで、こうした地域の建設業者の実情を踏まえ、公共工事の執行に当たり、県ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。

 

知 事 本年度、国からの公共事業予算は大幅に増加しており、その効果を早期に発現させるためには、確実な執行に取り組むことが重要であると考えております。

 一方、建設業においては、これまでの建設投資の減少により、受注機会が減る傾向にあったことに加え、厳しい就労環境などを背景として、現場技術者が不足してきていることから、公共工事の入札を辞退する事例が出てきております。

 県では、これまでも年間を通して受注計画を立てられるよう発注見通しの公表を行ってきており、また、年度をまたいで施工できる債務負担行為や繰越制度を積極的に活用することにより、施工時期の平準化が図られるよう努めてまいりました。

 さらに、本年度からは、限られた人材を効率的に活用できるよう、規模が大きい工事におきまして、契約から工事開始までの間は、現場技術者の配置を必要としないこととする余裕期間制度を新たに導入するとともに、現場代理人の常駐義務に関する特例について、その対象を県工事と市町村工事間などでも適用可能とする緩和を図ったところであります。

 今後も、地域の守り手である建設業が将来にわたり持続的に発展していけるよう、より受注しやすい環境づくりに取り組みながら、円滑かつ効率的な工事の執行に努めてまいる所存であります。

  以上をもちまして、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答えをいたします。

 

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甲府城の保存と活用について

皆 川 次に、甲府城の保存と活用についてお尋ねします。

 甲府城は、昭和43年に県史跡として指定され、城を守り、活用していくため、伝統的技法による石垣の修理や稲荷やぐら、くろがね門など、5つの歴史的建造物の復元整備が行われてまいりました。

 これまでの、天守台を最頂部とした階層式城郭の景観や、本丸・稲荷曲輪を中心とした築城期の面影を残す野面積みの一種である穴太積み石垣など、史実に基づいた整備・保全により、東日本有数の初期段階における織豊系城郭の雄姿が現代によみがえるまでになりました。

 また、内堀の復元・拡大による水辺空間の創出など、甲府城の魅力向上のための取り組みが、これからも着実に進められるものと期待しているところであります。

 私は、昨年6月の定例県議会において、甲府城を将来にわたって守りつつ、周辺整備を着実に進め、さらには、まちづくりに生かしていくため、甲府城の国史跡化は有効な手段であるとの考えを申し上げました。

 教育長は、城の歴史的、学術的価値、国の史跡指定によるメリットなどを示した上で、国史跡化を目指すと力強く答弁され、着実にその取り組みを行ってきたと承知しています。

 本年2月、国史跡指定の告示がなされたことは、先人から脈々と引き継がれ、実直な復元により往時の雄姿をあらわした史跡が、我が国の宝として認められたことのあかしでもあり、大変意義深く、また、喜ばしく感じております。

 さて、本年4月に施行された改正文化財保護法では、民間団体も含め、地域社会総がかりで文化財を確実に継承していくことを制度上に位置づけ、地域における文化財の保存や活用を総合的・計画的に推進する保存活用計画を文化財の所有者などが策定できることとしております。

 こうしたことから、国の高い評価を得た甲府城跡を保存し、次代に確実に継承しつつ、既存計画との整合を図る中で、地域の活性化にもつながる活用の方策を、歴史学者のみならず、まちづくりの専門家や、地元関係者などからの幅広い識見を踏まえて検討すべきであると考えます。

 そこで、県では、こうした趣旨を踏まえた計画をどのように策定していくのか、お伺いします。

 

教育長 まず、甲府城の保存と活用についてでございます。

 県では、文化財保護法の趣旨を踏まえまして、甲府城跡を保存し、活用するための基本的な指針となる計画を、明年6月末を目途に策定をいたします。

この計画では、改めて史跡の本質的価値を明確にした上で、その価値が次世代に発展的に継承されるよう、史跡全体、並びに石垣やお堀などの構成要素それぞれについて、保存、活用、整備に係る現状と課題、課題解決に向けた基本方針やその推進体制等を定めることとしております。

 このため、計画の策定に当たりましては、甲府城跡が有する歴史的、学術的な価値に深い見識のある研究者に加えまして、都市公園としての機能、観光資源としてのあり方、地域活性化への取り組みなどのさまざまな観点から御意見をいただけるよう、都市デザインなどの有識者、地元関係者、県、甲府市の関係部門の職員で構成する検討委員会を設置したいと考えております。

 検討委員会では、甲府市と策定いたしました甲府城周辺地域活性化実施計画との整合を図りつつ、十分な議論を行い、将来にわたり県内外の多くの皆様から愛される史跡の実現を目指して、保存活用計画の策定に万全を期してまいります。

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屋内50メートルプールの整備について

皆 川 次に、屋内50メートルプールの整備についてお尋ねします。

 昨年、福井県において開催されました福井しあわせ元気国体において、成年男子400メートル自由形で、江原騎士選手が優勝するなど、本県の選手が躍動する姿が見られたところであります。

 また、山梨・群馬・長野の海のない三県が参加して行われている三県対抗水泳競技大会においても、本県の優勝回数は他県を上回っており、高い競技力を誇っております。

 その一方で、本県水泳の拠点施設の一つである小瀬スポーツ公園の屋外50メートルプールは、昭和60年5月に整備されてから30年以上が経過し、老朽化が進んでいるところであります。

 また、屋外であるため、競技大会は夏場の6月から9月までしか利用ができず、猛暑の中で大会を開催することになり、プールの水温も上がることから記録も伸びず、ジュニア大会では紫外線の悪影響を心配する保護者の声もあったと聞いております。

 このため、選手の強化合宿などを行う際には、屋内50メートルプールのある長野県や新潟県などの他県へわざわざ出向いていって練習を行っている状況であります。

 知事は、2031年開催の山梨国体に向けたスポーツ振興として、屋内50メートルプールなどの県立のスポーツ施設を計画的に整備・改修をする考えを示されております。

 私は、屋内50メートルプールの整備を考える際には、国際大会を含めた大規模大会の開催が可能となる規格とすることで、世界のトップスイマーを本県で間近に見ることができ、県内の子供たちに夢を与えるとともに、国内外の人々が本県を訪れる機会がふえ、観光等における経済波及効果が認められるなど、スポーツ振興のみならず地域振興にも寄与するものであると考えております。

 もちろん、屋内50メートルプールの建設には、多額の費用がかかることは承知しておりますが、国際大会や全国規模の大会を誘致するためには欠かせないものと考えます。

 そこで、県では、屋内50メートルプールの整備について、どのような基準や考え方で進めていくのか、御所見をお伺いします。

 

 

教育長 国際基準プールにつきましては、国際水泳連盟や日本水泳連盟が主催の国際大会に使用する競技施設として、長さや幅、レーンの数、水深、室内の明るさなど、国内一般プールよりも高い基準が設けられております。

さらに、メーンプールとは別に50メートルの練習用サブプールが必須であることなど、現在、国内においてこれらの基準を全て満たしている国際基準プールは、東京、千葉、横浜など六カ所しかない状況にあります。

こうしたことから、本県での屋内50メートルプールの整備に当たりましては、現時点では、国民体育大会やインターハイなどの国内主要大会が開催できる施設を前提とすることが適当と考えておりまして、国民体育大会の先催県における整備事例や、その後の利用状況などを十分調査し、将来にわたり持続可能な施設の規模や運営方法などについて、鋭意検討してまいります。

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山梨県議会議員 皆川いわお

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E-mail : minagawa@nns.ne.jp